この記事は30秒ほどで読めますが、一番最後のまとめだけで十分な内容です。
イスラエル首相のネタニヤフ氏、ハメネイ師の次男で最高指導者に先日選出されたモジタバ師、実は双方ともに死亡説が風の噂で流れている。そして両国ともそれを否定するかのような声明をだし、噂を払拭するかのような行動を取っている。イスラエルに取ってはイラン攻撃の先鋒であるネタニヤフの死は、今後の攻撃の弱体化になりかねず、イスラエル軍に取っては避けたい自体だ。そしてイランに取っては、モジタバ師の死は、革命防衛隊や政権の瓦解になりかねず、これをきっかけに現イスラム体制の崩壊も無くも無い。
まずはネタニヤフ氏に関してだが、こちらはイランのロケットとも自爆ドローンの攻撃を受けたともされている。しかし今、死なれては困る勢力もイスラエルには多い。例え国民の大半から嫌われており、次の選挙では確実に負けるとも言われていようとも、イスラエル人の大半はイラン攻撃を支持している。そしてその噂を払拭するために出した動画が、指が6本あるAI動画で、さらに死亡説を印象付ける結果となってしまった。その後の釈明動画でも、カフェでコーヒーを飲むシーンが公式から放映されたが、こちらもコーヒーがカップから1センチほど溢れている様に見える動画にも関わらずまったくこぼれておらず、こちらも80%の確率でAI動画とAIが判定した。生きているなら本人が出るだけなのである。
そしてイランのモジタバ師。こちらもイスラエル、アメリカの空爆で死んでいるのでは?と噂されている。最高指導者に選出されてから、1週間もたってようやく声明が発表されたが、徹底抗戦を呼びかける声明は、代筆、そしてテレビのアナウンサーによる代声だ。もちろんこちらは次々と政権の中枢が殺害されているため、のこのこと居場所を教える訳にはいかない。しかし居場所を悟られずに録画くらいは出来るだろう。また怪我の状態が悪く、戦争で不安定なイラン国内の病院ではなく、ロシアで療養してるとも噂が出ている。こちらも生きているなら本人が出るだけだ。
事の真相は不明だが、双方ともメディアには現れていない。そして喫緊の課題は原油調達だろう。イランの発表としては、人民元建てであればホルムズ海峡の通過を許可すると8か国と調整中だとの一報が流れた。ただでさえドルの信認が弱まったいる現状に、そしてドルの基軸通貨、ドル経済圏に喧嘩を売る気だ。この8か国とはアメリカとは距離を置きたいBRICS諸国だろう。インドもブラジルも中国もロシアもアメリカとは距離を置きたい、いやどちらかと言えばトランプ氏と距離を置きたい勢力だ。そしてそこにパキスタンやインドネシア、ベトナム、アルゼンチン、ミャンマーあたりがイランとホルムズ海峡の通過を交渉していると思われる。いずれの国も地理的にアメリカからは遠く、政治的にもある程度距離のある国々だ。当然日本も欧州も、先進国と呼ばれる地域はそこに含まれていない。そう、日本も欧州も、イランから見れば当然アメリカと同盟だと思われるのだ。
今週でホルムズ海峡の閉鎖が始まってから三週目。そろそろ閉鎖前に海峡を通過した最後のタンカーがアジア諸国に到着し、それ以降は原油は8割、石油化学、LNGも多くの供給が止まる。また今ある原油を節約するために外出禁止や学校が休校になった国々、すでにガソリンが売り切れになった地域も報道で見受けられる。今後はどうなるのか?もちろん多くの国で産業が止まる公算だ。例え今ホルムズ海峡の閉鎖が解除されようとも、次にタンカーがやって来るまで20日間ほどかかる。その20日間を耐え忍ぶことが出来るのは、アジアでは日本、韓国、中国、シンガポールくらいだろう。
しかし閉鎖が解除される見通しはまったく立たず、海上保険も停止された状態だ。無保険の石油満載のタンカーで、攻撃される可能性が残るホルムズ海峡を横断するような無謀な事など出来ない。経済的に弱い東南アジアの国ではひと月分の備蓄もなく、ベトナムはすでに日本に援助を要請。その日本もプラスチック製品には不可欠なナフサの減産が報道されている。それでも上述のイランの通過を許可するために調整中との一報が流れると原油価格は下落し株式市場は上昇した。例え今海峡を渡ってもすでに手遅れな状況の国も多々あるだろうが、無いよりはマシだし、今ある原油を節約するのも何もしないよりはマシだ。
つまりイランと現在交渉中の国もまったく安泰という訳ではない。供給されるまでに時間は掛かるし、そもそも供給元であるサウジやUAE、カタールなどといった国はアメリカよりだ。人民元建ての支払いを容認するとは限らない。そもそもアラブ系とペルシャ系の対立、シーア派とスンニー派の対立など中東は泥沼だ。そしてイラン自体も石油の輸出をしなければ生計が立てられず、他の中東諸国も原油を輸出し食料を輸入しなければ詰むのは同じだ。今の構図は世界中みんなでチキンレースを楽しんでいるのである。
そんな中、一人ほくそ笑むトランプ大統領。シェールガス革命でアメリカ国内需要をある程度まかなえ、直近併合したベネズエラもある。WBCでベネズエラが優勝した時には「(植民地から)州に昇格してあげる」とのお褒めの言葉も出たほどだ。まあ実際ベネズエラ国民からしたらペソや独裁者なんて捨てて、民主化やドルを取った方が安パイだろう(余計なお世話)。これは為替相場にも表れている。「有事のドル買い」などといった間違った報道も聞かれるが、実際には「有事の円買い」や「有事のゴールド」が正しい慣用句だ。
なぜ有事の際は円やゴールドに資金があつまりドルからは資金が流出するのか?単純に信用の問題だ。双子の赤字を垂れ流す放漫財政で紙幣を刷りまくり、さらに戦争を吹っ掛け戦費の調達でさらに財政が悪化する国と、勤勉に貿易黒字と経常黒字で海外資産を積み上げる国や、供給に制限のあるゴールドどちらが魅力的だろうか?もちろんゴールドや円の方が魅力的だ。しかしゴールドも円もホルムズ海峡の閉鎖以降、ドルに対して下落している。円や欧州通貨が下落するのは当然だ。原油の中東依存度が高く、ホルムズ海峡の閉鎖で受けるダメージがアメリカに対して大きいからだ。それがドルが買われる理由だ。
ではゴールドはどうなったのか?有事にも関わらずドルに対して下落している。そして直近ゴールドは暴騰していたことはご存じだろう。ゴールドがどういった局面で上がるのか?
1、インフレ下
2、金利低下や金利が付かない
直近までアメリカではFedの議長の交代で利下げされると噂されてきた。それがここに来て急に利上げ方向が優勢となっているのだ。当然だ。すでに年初から1,5倍以上値上がりしている原油価格。物価高騰により利上げとなるのは当然の流れだ。金利が上がるなら、金利を産まないゴールドから金利が上がる商品へと資金が動くのである。そして直近、過熱感も否めなかったゴールド。ゴールドはどういった局面に弱いのか。もちろん上記の逆だ。
1、インフレ無き経済成長
2、金利上昇局面
市場は、ある程度原油を自給できるアメリカのインフレは限定的だが、それでも国際市場で取引される原油が上昇すれば利上げは避けられないと見ているのだ。金利が上がればドルは他の国との金利差からさらに買われやすくなる。つまりドルは、原油調達の面で世界の他の国に対して有利で、さらに金利の上昇と二重の面で買われやすくなっているのだ。それでは石油の無い日本や欧州はどうなるのだろうか?
市場はまずはドルに対して円安、ユーロ安で反応している。当然の反応だろう。原油調達の目処が立たずアメリカよりダメージが大きくなるのは確実なのだから。今までは航路上にタンカーがあったため、市場に与えるインパクトは大きくなかった。しかし最後のタンカーが入港し、それ以降のタンカーは不明だ。そして今イランが海峡の封鎖を解除したとしても、最短でもそこから3週間空白の期間が生まれる。しかしながら今封鎖が解除される訳がない。それがイランの戦略でもあり、アメリカの戦略でもあるからだ。
イランからして見れば、ホルムズ海峡を通過するタンカーを止める事で、世界の世論が反アメリカ、反トランプに傾く事を目指しているからだ。すでに世界情勢を顧みずに艦隊の派遣を同盟諸国に要請したトランプ大統領。しかし、日本もヨーロッパも韓国もイランとは上手く関係を築いていきたいのだ。中東はエネルギー保障の観点から良好な関係を築いていかなければならないのだ。もちろんイランに艦隊を派遣する国は出てこず、これに関しては反トランプで世界は一致した。そしてアメリカやイスラエルが空爆を続ける間は、封鎖を解除する理由は無い。もちろんこの賭けにはリスクもある。封鎖が長引けば、日本や欧州などがイランを非難する可能性があるからだ。それをどう反トランプ、反アメリカへと非難の矛先を変えるかだ。
そしてアメリカとしてもこんな所で封鎖を解除してもらっては困る。中国に最大限の経済的ダメージを与えたいからだ。アメリカはある程度の石油は自給できるし、足りなければ近隣のメキシコやカナダ、直近併合したベネズエラから持ってくるだけだ。中国の石油備蓄は100日ほど。こちらもやはりチキンレースだ。NATOとして同盟関係にあるユーロ圏も3~4か月ほどのストックがある。ロシアから買ってくるという選択肢もあるがこれは無い。一方の中国はロシアから購入するだけだ。もちろん中東産が無いと中国国内需要を満たせないが100日分の石油の延命にはなる。それでも世界第二位の原油消費量を誇る中国。世界の工場が止まる経済的ダメージは大きい。内需である程度経済を回せる日欧とはインパクトが違うのだ。
アメリカは無傷で済むのか?原油は国際市場で取引される商品だ。もちろん原油価格の高騰はアメリカ経済にもダメージを与える。直近経済を牽引したAI関連。それに伴いマイニングにAI需要でエネルギー需要が増え電力価格が高騰したことはご存じだろう。しかし原油価格が高騰し電力価格が上がればAIプラントに回せる電力はあるのだろうか?価格を維持しながら同じサービスを提供出来るのか?んな訳ない。ただでさえ採算が危ぶまれているAI関連。AIバブルとも形容される状況だが、電力価格が3倍にでもなれば採算は全く取れないだろう。それこそかつてドットコムバブルで見た、アレの二の舞だ。当時はネット関連というだけで採算など関係なく買われたが。。。
すでにホルムズ海峡が閉鎖されてから3週間が経つ。中東産の原油は世界需要の半分の50%だ。そして海峡の閉鎖以降、中東産の原油の生産は通常時の60%ほどにまで落ちている。つまり世界需要の20~30%ほどの生産が足りてない可能性がある。そしてアジア、欧州域での中東産のプレゼンスは需要の80%だ。原油はしばらくは何とかなる。しかしながらLNGや石油化学製品は1か月分とも言われている。足元ではプラスチック製品もガソリンも高騰しているが、今の高騰は序章に過ぎないだろう。今まではタンカーが入ってきていたのだから。
しかし今後は世界を巻き込んだチキンレースが始まる。海上を航行する中東産の石油タンカーはもう無いのだ。そして再び供給されるには、少なくても20日ほど航行してからとなる。つまり今週で3週間中東産の原油が止まっているが、今後の3週間も入ってこないのは確定なのだ。これがあと2週間続けば合計は8週間、2か月分の中東産の原油が止まる事を意味する。そしてアジア諸国も欧州も中東産の原油の割合が高い。日本に至っては90%を超える。もし二か月中東産の原油の供給が止まれば残る備蓄が一か月ほどしかない国も出てくるだろう。もし後ひと月で石油をベースとした世界経済が、文明が崩壊するとしたら市場はどういった反応をするのか?
以下まとめ
暴落の貴公子と言われた私が戻ってきたということは、それが全てを物語っている。コロナショックでは10%石油需要が少なかっただけで原油価格は半額になり市場は30%ほど暴落した。しかし各国の中央銀行はお金を刷る事で対応することが出来た。今回のイランショックは30%石油の供給が少なくなる公算だ。そしていくら現金を刷ろうが原油は増えない。プラスチックは増えないのだ。石油化学製品、つまりプラスチック原料の備蓄は1か月分だとも言われている。もちろんサプライチェーンの要所、要所でストックがあるため実際にはそれ以上あるが、ひっ迫する公算が高く値上がりは不可欠。また原料不足で生産出来ない商品も出てくるだろう。
さて最後のタンカーが本日入港しました。石油製品によっては1か月ほどの備蓄があります。そして次のタンカーは最速でも一か月以上先です。つまり供給は、備蓄はすでに足りていないのが現状だ。市場が、人々がいつまで平静を装うことが出来るのか楽しみだ。
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