2022/07/13

【インフレ率9,1%】CPI、ピークアウトで、株価は反発






寄り付き前に発表されたCPI。その結果を受け大幅に下落するNY指数先物。しかしながら直近のコモディティー価格の値下がりなどから、今がインフレのピークであり、これ以上悪い数字は出ないという思惑から、材料出尽くしで寄り付き後は株価は上昇してまいりました。


一時期は1バレル120ドルを超えていた原油も今は100ドルを下回り、ガソリン価格も高値圏で推移しているものの、以前の様な上昇は無く安定してきました。しかしながら背景には未曾有のドル高がコモディティー価格の上昇を抑え、インフレが和らいでいるという側面もございます。言い方を変えればもし今の状態でドル安に傾くならインフレ率はさらに悪化する。



皆さんもご存知の通り、コモディティーとドルは天秤の右と左だ。ドルの価値が上がればコモディティーの価値は相対的に下がり、逆にドルの価値が下がればコモディティーの価値は相対的に上がる。







コロナショック後の大規模金融緩和で紙幣の価値が希釈化する中で大幅に値を上げたコモディティー。しかしながら直近のFedによる引き締めで、ようやくドルの紙くず化に歯止めが掛かった形だ。もちろん米国経済は常に財政赤字と経常収支が赤字であり、ドルは紙くず化しているが、それでも緩和時代ほどのハイペースとはならず。



今回のCPIを受け、一時的に大幅に下落したあと反発した株式市場。インフレはピークアウトするかも知れないが、それが良いか悪いかと言えば良い訳が無い。そしてこれ以上は悪くはならないとして、インフレのピークアウトを見越して反発する株式市場だが、反発は短命に終わる公算だ。



ドル高はコモディティー価格の抑制、引いてはインフレを軽減させるが、米国経済にとっては足かせでしか無い。特に行き過ぎたドル高は。ドル高で海外からの収益は当然急減。それがGDPの成長率を押し下げるが、このドル高により押し下げられた名目GDPに、さらに直近の9,1%のインフレを加味すると実質GDPは悲惨だ。






現状のドル高ですでに第一四半期はマイナス成長だった米国のGDP。しかしながら今回の最悪なインフレ率とさらなるドル高で、マイナス成長はさらに深堀する可能性が高い。なんせ9%成長してもインフレの9,1%を差し引けば、実質GDPはマイナス成長だ。まあ10%成長すれば良いだけだが。。んな訳ない。。。



そして今の米国経済の置かれている状況は、進むも地獄、戻るも地獄、どこに進むも通ずる道は地獄のみだ。ドル高がインフレやコモディティー価格の上昇を抑制しているが、この状態では経済がズタボロに。逆にドル安に傾けばインフレやコモディティー価格はすぐに上昇し、インフレによりGDP及び経済はズタボロに。


進んでも戻っても、現状維持でも行き着く先は地獄だけだ。ドルがどう動こうが、マイナス面ばかりが強調される経済情勢だ。もちろん解決策はある。劇薬だが特効薬だ。それは失業率の上昇による実需の喪失。誰も消費出来なければ、需要の失くしたコモディティーは価格を下げざる負えない。全ての物の価格は需要供給曲線で決定されるのだから当然だ。







現在の失業率は、直近の雇用統計からも分かる通り底堅い。当然それではインフレは収まらない。現状のままならインフレ率はピークアウトするかもしれないが、需要が蒸発しない限りインフレは高止まりする。また為替が少しでもドル安に傾けばインフレは再び上昇する。Fedはまったく持って手を抜くこと無く、引き締めを行わなければならない状態だ。


Fedに残された唯一の道は引き締め街道を爆進するのみだ。上述の通り為替がどう動こうがもはや米国経済にはマイナスであり、残された選択肢は、失業率を上昇させることでしかインフレを解決出来ないのだから。失業率を上昇させるのも簡単だ。企業の利益なんか吹っ飛ぶくらいのドル高と、資金の借り入れコストを上昇させればよいだけなのだから。。。


日本では円安で好景気に湧く輸出産業。しかしその裏では燃料価格が上昇してインフレに喘ぐ国民の姿も。なんのことはない。為替の利益と損失は裏表一体で、輸出産業の好景気とインフレに喘ぐ国民はコインの裏と表で一体だ。。また今の輸出産業の好業績は次に来る円高でチャラになる公算だ。大不況と共に。。。





はっきり言って日銀の金融政策は失敗だろう。国民が物を買えなくなるほどの円安を招いたのだから。円安による輸入資源の大幅な上昇で貿易収支が大幅に悪化するなら、輸出産業がいくら好業績でも弊害の方が大きい。なんせ輸出産業が好業績にも関わらず、それが貿易収支にまったく寄与していないのだから。


貿易収支の赤字幅を最小限に抑える円の水準は、やはり1ドル115円前後だろうか。今の水準は国民に貧しいと感じさせるには十分だし、貿易収支の大幅な赤字は、国民に危機感を抱かせ活動を萎縮させるには十分だ。緩和すれば景気が上がるというが、当然適正な水準がある。今の緩和は行きすぎだ。



そもそもこれ以上円安に傾いても、輸出製品の製造個数には寄与しない。車の生産台数は頭打ちだ。後は帳簿上で為替による損益の変動だけだ。もちろん製造台数が増えないのならば国内で新たな雇用は生まれない。雇用が生まれない金融緩和は、円安による資源価格高騰の弊害の方が大きい。







アメリカがクシャミをすれば、日本や欧州は肺炎になり、新興国は危篤状態に陥る。今でこそスリランカやエルサルバドル程度しかニュースになっていないが、アジア南米通貨危機が起こり、アラブ世界では政情不安やテロが増大。そしてアフリカでは食糧危機が起こり飢饉で何100万人もが難民となり、中国では2億人が失業する。



アメリカもそろそろ鼻にコヨリを突っ込む時間帯だ。まだクシャミをするまで時間はあるが。連鎖的なレイオフが起これば、それは終わりの始まりだ。皆がレイオフに怯え出来るだけ蓄えようとし、それが消費の低迷に拍車を掛ける。アメリカに物を売りさえすれば経済が回っていた日本やヨーロッパは、アメリカ人の消費低迷の煽りを真っ先に受ける。



インフレ率がピークアウトするのではないかという思惑から反発している株式市場。直近のコモディティーや原油価格の下落がそれを裏付ける。しかしながら最終的にコモディティー価格や原油価格に影響を及ぼすのは投機資金ではなく実需だ。実需が無くならない限り、本当のコモディティーや原油価格の下落、引いてはインフレ率の低下は起きない。アーストラビスタ、ベイビー。。。




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2022/07/11

【頼むから上がってくれ】投資家の、悲痛な叫びは、聞こえない






最近は比較的底堅い値動きを続ける株式市場。また投資家の多くは株価が上がって欲しかったり、また上がってもらわなければ困るポジションを抱えているのではないでしょうか?まあ私もより大きく売り込むには、上がって貰わなければ困るのですが。。。



さて、皆さんもご存知の通り、暴騰を作るのは売り方の踏み上げで、暴落を作るのは買い方の投げ売りだ。未だ大天井付近にある株式市場で、当然ながら淡い期待を抱きながら株式を握っている一般投資家も多い。特にコロナショック以降に投資を始めた、右も左も分からない投資家諸君。こいつらが焦っって出口に殺到するまで下落は続く公算だ。



つまり今株式市場に上がってもらわなければ困る投資家のポジションが、清算されなければ下落は止まらないし、またこいつらのポジション清算こそが暴落の原因だ。しかしながら今はまだその段階にはない。どのような時にこいつらのポジションが清算されるのでしょう?どのような時に資産を売らざる負えない状況に追い込まれるのでしょう?







一つはレバレッジを掛けている時。そしてもう一つは借金を抱えている時だ。レバレッジを掛けて投資をしたが、思惑の逆に動けばそのうちマージンコールが発生する。つまり証拠金を差し入れることが出来なければ強制的に決済される。当然あなたの意思など関係なく、もう少し待てば反転しようともお構いなく決済される。



より深刻なのは借金を抱えているやつが金利負担に耐えかね、保有する資産を売却して借金を減らし、金利負担を軽減しようと考えた時だ。最近買った家、新たな設備投資。借金をして買ったは良いが、足元でドンドン上がる金利。にもかかわらず個人も企業もインフレによるコモディティ価格の上昇で実質収入は先細りで購買力は低下。



実際に第一四半期GDPはマイナス成長で、直近までリセッシュの確率は30%とか言っていたのが、一夜にして第二四半期もマイナス成長になる可能性が高くリセッションは確実と掌返し。当然購買力が低下しているのだから個人消費も低迷。実質収入や購買力は減ったが、それでも雇用は何とか維持されているため、雇用統計だけは底堅い。しかし崩れるのも時間の問題だ。







なぜなら誰かが消費を辞めない限り、需要は高止まりしインフレ率が下がらないからだ。つまり失業率が上がらなければインフレの問題は解決しない。失業し消費が出来ない状況に多くの人が追い込まれなければインフレの問題は解決しないと相場は決まっている。勿論煽りを食らうのは貧乏人だ。


Fedのリセッションプログラムとは、貧乏人に消費をさせないことであり、当然それは金融引き締めや利上げによってもたらされる。リセッションが起きるとか起きないとかの議論はどうでもよく、貧乏人に消費をさせない事はプログラムとしてすでに組み込まれていると言える。もちろん中央銀行は口大きくしてそれを言ったりしないし、あからさまに貧乏人に消費をするなとは言わないが。。。



そもそもあなたの支出が他の人の収入になるのだから、あなたの購買力の低下で少ししか商品やサービスを買うことが出来なければ、売り手側の収入も当然少しだけとなる。こうして経済は減速し、さらに人々の暮らしは苦しくなるデススパイラルが起こるのだが、それでも仕事があり収入があった時は、あの時はまだ良かったとなる。







経済はある日を堺に急速に悪化する。それが何らかのキッカケか、連鎖的な大規模なレイオフか、もしくは象徴的な企業の破綻かは分からないが。。今はまだ下り坂を転がり落ちるブレーキが壊れたダンプカー状態にはなっていない。下り坂のはるか手前だ。それでもジリジリとその下り坂に引き寄せられていくのだから、そうなるのは時間の問題だ。


一般庶民は全ての商品の価格が上がり生活が厳しい。企業の台所も火の車だ。そうなれば支出は抑制せざる負えない。企業の支出とは当然あなた方の賃金も含まれる。ここからは私見だが、レイオフが行われるのは、早ければ7月中旬の第二四半期決算からだ。良かったな夏休みを前に、永遠に夏休みがもらえて。FIREとかアーリーリタイアとか言っていたのだから当然喜んでもらえる事だろう。



勿論私は第二四半期決算は盛大にコケ、レイオフが始まると踏んでいるのだが。理由は金利や為替だ。この金利じゃ借金は圧縮したいし、支出も削りたい。しかし為替がかなりのドル高で、海外からの収益は大幅に減少。無い袖は触れないと言う訳だ。出来ることは手持ちの資産を売却して借金を圧縮するか、支出を削るためのレイオフか、その両方だ。オメデトー。。。アーストラビスタ、ベイビー。。




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