2022/09/04

【世界経済】刻刻と、終わりの時が、迫りくる








株価や経済指標、統計などの云々は置いておいて、肌感での経済は今が最高潮だ。コロナから解き放たれ自由に活動を楽しみ、制限なく財やサービスを消費する。コロナ渦では制限された外出や旅行など、今年の夏はコロナ以前の様子が久々に訪れた。またそういった仕事に従事してい人が労働市場に舞い戻り、失業率はかつて無いほどの低水準。労働市場は売り手市場で賃金の高騰がインフレに拍車を掛ける。



肌感での経済が今が最高潮という事は、これ以上は実体経済が良くならない事を意味する。事実、インフレにより個人の購買力は低下し、逆に企業の出費は増えるばかり。これ以上業績が上がる要素は皆無で、残されたのはインフレと中央銀行の引き締めだけで、それが実体経済を少しづつ蝕む。あなたが保有するドル建て資産も、ロシアのウクライナ侵攻ショックを底値に常に最高値圏を維持しているが、これ以上良くなることは無い。


引き締めが意識されれば、株価は下がるが代わりにドル高円安となり、やはり円建て評価は現在でも最高値だ。つまり肌感では経済も株価も今が最高値で双方ともこれ以上良くなることはない。後は悪化するだけだ。インフレと引き締めと共に。そもそもコロナショック以降の緩和マネーで全人類が何かしらの資産を買ったが、全ての人が参入した時点で、新たなプレイヤーが現れる事は無いのだから、株価は上がらない。火星人が株式市場に参入してくれるとでも言うのだろうか?




今後の世界経済に明るい予兆は無い。巷では今後、アメリカ経済は70年代型の不況に陥り、世界第二位の経済大国の中国は日本の90年代型の不況に陥ると言われている。ではヨーロッパや日本は助かるのか?実は拍車を掛けて悪いのが、エネルギー資源輸入国のヨーロッパや日本だ。そしてヨーロッパや日本は深刻な不況、70年~80年代のイギリスは英国病に掛かるのではないかと言われている。


「揺りかごから墓場まで」と言われた高福祉社会を達成したものの、もはや社会主義経済同然の施策で産業の活力は低下し、他国に対して競争力は低迷。また高福祉社会であるがために、そこにしがみつく寄生虫が増えた事で、失業率が悪化はするが改善することは無く、政府の財政は悪化する一方。活力を失った人々と産業にオイルショックが不幸を増幅させる。


オイルショックによりインフレは加速し、個人の購買力はさらに低迷。産業の競争力がもともと無いにも関わらず、働かないで失業保険を受給した方が、働くよりも豊かな生活が出来てしまう現実。まるで最近聞いた様な話だが、人々は過去から何も学ばないらしい。働かずにコロナ給付金を受け取り、財政出動とウクライナ侵攻の供給危機で第三次オイルショックとも言える現状がインフレを加速させる。残されたのは深刻な不況「英国病」だけだ。




もはや世界経済が助かる道は無い。インフレが無ければ緩和さえすれば何とかなったが、インフレ下の経済情勢では切れるカードは殆ど無い。量的緩和も積極的な税制出動も無理で、切れるカードがあるとすればインフレを刺激しない程度の金利の微調整だけだ。勿論一旦経済が下り坂を転げ落ち始め惰性が付いてしまえば、金利の微調整など焼け石に水だ。


荷物を満載したブレーキの壊れたダンプカーが止まる手段は、何かに衝突しなければ止まらないと相場は決まっている。世界経済も同じで何かに衝突し、ハードランディングすることでしか、インフレもリセッションも止まらない。まだ我々が立っている所はリセッションというトンネルに入ったばかりで、入り口からは光が差し込む明るい所だ。このトンネルは長い。出口の光は見えないし、当然トンネルなので脇道から逃げる事も出来ない。


アメリカは70年代型不況、日本やヨーロッパは80年代型英国病、そして中国は日本の90年代型の不況に陥る。インフレのために緩和に舵を切ることは出来ず、アメリカの利上げが一服すれば、為替が反転するため、日本は円高不況、ヨーロッパはユーロ高不況へと突き進む事になる。特にヨーロッパの抱える問題は深刻だ。日本もだけど。。。




いくら不況でもエネルギー資源が足りない以上、インフレは収まらない。まあ自ら供給を制限しているのだから当然とも言えるが。ヨーロッパではインフレが10%を超えるのも時間の問題と言われている。ピークアウトしたとも言われるアメリカとは違い、事態はさらに悪化するのは確定事項らしい。そして問題への対処が遅れたり、事態の軽視や先送りは最悪な結果を招く。


もともと産業の空洞化が激しく、第二次産業は存在しない観光客頼りのフランス経済。ロシア産エネルギーがないと経済が回らないドイツ経済。お荷物のPIGS豚さんたち南欧。ユーロ経済圏の癌と言われ、イギリスがブレグジットに至った原因でもある東欧。ユーロ圏という呪縛から距離を置いている北欧だが、同じヨーロピアンユニオン号という泥舟に乗っている以上結果は同じだ。


イギリスを除くヨーロッパは、醜くなるインフレに対処するためさらなる引き締めに走らざる負えない。それはイギリスの英国病を彷彿とさせる通貨高と深刻な経済危機を招き、もともと競争力のない産業構造をさらに脆弱なものにする。今後の流れは、ドルを売ってユーロを買い、買ったユーロでユーロネクストが売られる事になる。これ以上景気が良くなる事は無いのだから。





今年の夏のバカンスは、世界中でアメリカ人観光客が多かったらしい。まるで最後の宴と言わんばかりで、ドル高の恩恵を最大限活用した様だ。観光客の国籍は世相を強く反映し、コロナ前に中国人観光客が世界中を我が物顔で蹂躙したのも今は昔だ。そんな中国は不動産バブルの崩壊とゼロコロナ政策で、もはや海外に行くほどの経済力も体力も無いらしい。そもそも世界の工場として稼働していたのに、お得意様のアメリカがコケれば、アメリカ以上にダメージは深刻だ。


今後の流れは明白だ。アメリカ様の利上げでドルの独歩高、そしてアメリカが利上げを止めるが株価も経済もズタボロに。アメリカがクシャミをすれば日本やヨーロッパは肺炎に。つまりアメリカ以上に経済的ダメージは大きいが、為替が反転しドル安に傾いた事で経済状況の悪化は加速する。今の円安による輸出産業の好業績は、次に来る円高でチャラになる公算だ。


しかしながらインフレの醜いエネルギー資源輸入国のヨーロッパは利上げを継続するしか無く、ドル安ユーロ高が止まらない。もしドル建て資産を保有しているなら株価の値下がりと為替損のダブルパンチだ。また一度下落方向へ惰性がついたアメリカ経済は多少利下げした程度では止まらないが、その利下げはさらなるドル安を招く。このようにして日本や欧州は英国病という肺炎に掛かるのだ。




さて、インフレという名のパンドラの箱を開け、この世の全ての不幸や災厄を解き放った世界経済。本当のパンドラの箱には不幸と一緒に希望のカケラも解き放たれたが、インフレのパンドラの箱にはそんな物は入っていない。入っているのは希望ではなく絶望だ。インフレの恐ろしさを知っていた世代は、例え低成長に陥ろうともインフレ無き経済成長を目指したが。。。


一世代でインフレの恐ろしさは忘れてしまうらしい。最近の主流はMMTや2%インフレ目標のバラマキ理論だ。そして2世代たてばバブル崩壊の恐ろしさを忘れ再びバブルを起こし、3世代たてば同時にバブルとインフレを起こす愚か者の出来上がりだ。過去の教訓とは何だったのか?歴史とは何だったのか?


大方の予想通り、株価の反発は夏休みの一過性となったが、個人的にはそれでも10月くらいまでは続くと考えていた。それが9月を待たずして再度下落する想像を絶する弱さだ。まるで今後の暗い未来を先行するかの様に。。さて未だにGAFAMとか言っている諸君、株安とドル安は避けようがない。三十六計逃げるが勝ち。円建て評価が天井圏の間に逃げるか、それともバイアンドフォールドを貫くか?コロナショック以降に株を始めた投資家はインフレを軽視し、バイアンドフォールドで助かると考えている様だが。。。アーストラビスタ、ベイビー。。。



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