皆さんは「TTID」と言う言葉をご存知ですか?「今回だけはいつもと違う」「ディスタイムイズディフォレント」(This Time Is Different)の頭文字です。因みにどういう時に使われるかと言うと、相場が大きく上昇した時に、そのバブリーな様子をまことしやかに肯定するために使われます。俗に言う「言い訳」とも。
まだまだこの言葉が聞かれない今、弱気な投資家や慎重な投資家も多く、現金を抱えた投資家が多いという事でしょう。慎重な投資家が多い間はジリ高傾向は続きます。最近ちょっと落ちても直ぐに戻しています。
では、今後どういうことが予想されるのでしょうか?
1、何かしらの障害物がある間はジリ高傾向、現状のコロナや政経など
2、障害物が無くなり上昇ペースが加速
3、慎重で乗り遅れた投資家が損失を取り戻すためレバレッジを掛け始める
4、急上昇開始でさらに資金を呼び込む
5、そして「今回だけはいつもと違う」となる
今年60%ほどのSP500指数の上昇を予想している私に言わせれば、今はまだ上昇相場の起点にあたるでしょう。各国政府や中銀もさらなる大規模な緩和を検討しています。バイデン政権も一人あたり2000ドルのばら撒きを検討しており、就任後すぐにコロナの封じ込めと共に行われる見通しです。
3,3億人に100ドル配った場合330億ドル、約3,3兆円。この20倍にあたる6600億ドルの66兆円がばら撒かれれば、株式市場にはかなりのインパクトを持つ事に。前回の給付金同様、殆どが資産市場に流れ込む公算です。消費に使われる金額は小さく経済的には失策ですが。。。政府は血液の様にお金が社会を循環する政策を取るべきなのですが(ニューディール政策)。。。日本も給付金がばら撒かれる度に、金融資産や貯金にそれらの資金が流れている様です。
もし2400兆円とも言われる時価総額を誇るアメリカ株式会社にこの66兆円もの資金が流れた場合どうなるのでしょう?割合としては時価総額の3,5%程度ですが、3,5%程度の上昇で終わるのでしょうか?もちろんその程度で済む訳が無い。10兆円の出来高に対して66兆円もの買い圧力です。それほどの買い圧力に晒されれば、さらなる上昇が期待出来るため「売ろう」と考える投資家が減り売り方は減少、買い方の一方的な需給ギャップが発生します。
昨年のコロナ給付金は、SP500指数を底値である2200ポイントから3700ポイントと60%ほどの上昇をもたらしました。同規模の資金流入、ワクチンによりコロナからの脱却、景気回復が進行すれば今年も大幅な上昇が期待出来ます。つまりまだまだ上昇に期待でき、今回も資金流入が期待出来る間は上昇は継続する公算です。
果たして今回だけはいつもと違うのか?
戦後最悪のりセッションと言われる今回のコロナ禍だが、経済的には最悪でも株価は高値を更新だ。よく引き合いに出される1929年の世界恐慌だが、あの時とは明確に違う。政府は経済の自然治癒に任せ財政支出には消極的であり、金本位制では限界もあった。
しかしニクソンショックにより金本位制は崩壊。そしてリーマンショックの時に緩和策を渋った事で、さらなる財政支出を余儀なくされたため消極姿勢も崩壊だ。つまり政府は好きなだけ財政支出を行える点で明確に『今回だけはいつもと違う』訳だ。政府は積極的な財政支出、もちろん大衆も空から振ってくるばら撒きを望むし歓迎する。
理性の崩壊がもたらす結末とは?
アメリカ人に理性があれば経済的な寄与が小さい、大規模なばら撒きは昨年で終了するべきだろう。株価が高ければ企業や個人は支出しやすいため、株高のトリクルダウン経済も一理あるからだ。しかし株価が高い今、ばら撒きは有効とは言えず、違った形の景気刺激策が期待される。
無意味なばら撒きの行き着く先はもちろんバブルとその果の貨幣価値の暴落だ。多額な賠償金を掛けられマルクを刷りまくった第一次世界大戦後のドイツや、直近のジンバブエがよい例だ。ドイツはシュトレーゼマンによるレンテンマルクの発行で形だけはインフレを退治したが経済はどん底でそのまま第二次世界大戦に突入。ジンバブエも経済は崩壊、秩序も崩壊、通貨は他国の物しか流通せず失敗国家の典型だ。
落とし所は?
アメリカが基軸通貨ドルを自ら放棄するとは思えない。そもそもドル以上に信用でき、使い勝手の良い通貨は現状ない。ユーロ、円、ユアン、BTCも役不足だ。つまり緩和はいつか終るし、マルクやジンバブエドルの轍を踏むとは思えない。しかし緩和の終わりが暴落の始まりとは限らない。株高は維持される可能性が高い。なんせ『緩和』という処方箋を簡単に出せる時代になった訳だ。
過去の常識では現在の株価はかなり割高だろう。リーマンショック前の水準はPERは14が平均でそれ以下は割安、それ以上は割高と言われてきた。リーマンショック後はその水準がPER22倍となり、それが定着しつつある中で起こった今回のコロナショック。次にある世界の常識はPER30倍時代。つまり我々は岐路に立たせれており、PER30倍時代を受け入れられるかどうかが今後の投資家として成功するかどうかの分水嶺だ。
新しい価値観を受け入れる事が出来なければ、残念な投資家として新しい技術から取り残され、経済の新陳代謝を阻害する古い非効率な方法で発展を妨害し、もちろんポートフォリオも残念な結果となるだろう。しかし現状を受け入れる事の出来る投資家は新しい価値観や常識と共に、産業技術の発展を享受するだろう。
ニイタカヤマノボレ。ニューワールドオーダー、新しい常識PER30倍時代へようこそ。株価が変わるのではなく、あなたが常識を変えればいいんですよ。