2020/08/16

【夏将軍の灼熱地獄】バッタフライ効果









皆さんはバッタフライ効果と聞いて何を思い浮かべますか?バタフライでは無く、ドンフライでも柿フライでもエビフライでも、ショートフライでも無く、「バッタフライ効果」ですよ。



もちろんアマゾンにいる一匹の蝶が舞う事でフロリダがハリケーンに襲われるなら、中東にいる一匹のバッタが飛ぶことで、カオス理論が展開されることは明白だ。しかしバッタは一匹ではない。6000億匹とも言われる群れが飛べば、その反動はアマゾンにいる一匹の蝶の比では無い。単純な計算では6000億倍にあたるのだから。風が吹けば桶屋が儲かり、蝶が飛べばハリケーンが発生し、バッタが大群をなし飛べば地球が動く。



かつてガリレオは、「それでも地球は動いている」と言ったとか。地球が自転している地動説ではなく、太陽や月が地球の周りを回っている天動説が主流を占め、カトリック教会による裁判を受け有罪となった時だ。500年の時を得て、カトリック教会はようやくガリレオの地動説を認めたが、バッタが飛ぶ反動で地球が動くことに関しては素通りだ。







私のブログの読者で10代なんて人はいないでしょう。とすれば殆どの読者はオッサンやオバハンだ。あなた方の中で、最近は昔と比べて熱いと感じたり、また薄々と心当たりがある人もいるのではないでしょうか?もちろん2000年以前の「熱い」といったら32度とかだったのに、最近は35度超えは当たりまえ。実際に気温は上昇しているので、あなたの感覚は正常で、「昔より熱い」と感じるのは昔の熱さを忘れてしまったためではなく、現実に「今」は「昔」より熱いのだ。




直近、日本でも40度の熱波が襲っているが、欧州は花の都、札幌より北に位置するパリでも、過去一週間、連日40度に迫る気温だったのはご存知だろうか?一週間、毎日40度に迫る熱波だ。もちろん昔は30度を超えることさえ珍しかったパリ、かの太陽王ルイ14世は夏でもベルサイユ宮殿で暖炉に火を灯していたころから伺える様に、石造りの建築物は熱を遮る。そもそもそこまで高温になることの無かったパリの家庭にエアコンは無い。あったとしても扇風機程度だ。コロナの前に熱波で死ぬレベルだ。




さて今が夏本番だとすれば、今後訪れるのはもちろん秋。そして秋の訪れは「水」と共にやってくる。台風の季節とも秋雨前線とも言われるのだが。太陽から受け取った莫大なエネルギーは当然保存され、あるキッカケにより発散されるまでは無くならない。




夏が過ぎ風あざみ、 
井上陽水「少年時代」より




夏が過ぎ涼しくなる頃、地球規模では何が起こっているのだろうか?太陽が北回帰線からカプリコーンへと進撃を開始し、それに伴い動く熱帯収束帯。地球の自転が生むコリオリの力により南北から赤道上に向かう風がぶつかり合い上昇気流を生み、多くの雨をもたらすが、雨季、乾季に別れているのは熱帯収束帯が動いているため。



そして熱帯地方を挟み込むように存在するのが中緯度高圧帯。フェーン現象と構図は一緒で、ハドレー循環とも言われる赤道上で発生した上昇気流が水分を失い、乾いた熱い風が吹き下ろすのがサハラ砂漠やデスバレーを作る中緯度高圧帯。その中緯度にある高気圧が太陽と共に南下することで、勢力を増すのが、極地方で冷やされた極高圧帯、冷たく乾燥した気団、シベリア気団とも言われる上空を覆う空気の塊、冬将軍である。




乾燥して冷たい空気は軽いため上空の高いところに存在する。逆に大洋の熱帯地方で暖められた、湿った温かい空気は重く地表面を漂う。日本が高温多湿なのはこの海洋性の気候によるものだ。逆にパリが高温乾燥となるのは、海から遠く、年較差や日較差が大きい大陸性の気候であるためだ。そして欧州に張り出す空気の塊が、気温60度とも言われるサハラ砂漠で照りつける太陽に暖められ乾燥した熱い空気。地中海など字の如く焼け石に水で、パリは燃えているか。赤道付近で太陽に暖められた夏将軍だ。


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水の性質として「熱し難く、冷め難い」のはご存知だろう。ブラジルの首都で内陸に存在するブラジリアが、人口池の周りに都市を作ったのは、極端な気候を緩和するためだ。雨季と乾季が明確に別れ気温の年較差や日較差が多きいため、セラードは人が生産活動を行える環境に無く、誰も居ないところで用地取得が容易だったことで作られたのが世界遺産であるブラジルの首都、ブラジリアだ。



もともとの植生は、地中海性気候と似たり寄ったりの半砂漠状態。南仏の夏は砂漠だぞ。乾燥に強く地中20メートルまで根を伸ばすブドウですら、水を引いて灌漑が必要なほどだ。セラードも似たり寄ったりで、熱帯のアマゾンとは程遠く、低木灌木がまだらにある半砂漠。しかしながら年間の降水量は日本の平均である1200ミリを凌ぐ、1400ミリとも言われる。まあそれがまた砂漠の様な地獄の光景を作るのだが。



年間を通して一定の降水量をもたらす日本とは違い、セラードの降水は短い雨季に集中する。大水は全ての地表を洗い流し、鉱物丸出しの地表は保水力が無く、長い乾季が訪れればデスバレーだ。大陸性の気候により乾季は砂漠と化し、水の無い超高温、超乾燥のハラッパが広がる。ラスベガス同様、生物の気配がないところに都市を作るのは簡単だ。人が居なければ用地取得が簡単で、そこにクソでかい人口池を作ればもともと豊富な降水量があることから、水が確保され、また大きい水場は温度変化を穏やかにする。



ここはハラッパ、廃墟です。





パキにあるハラッパのイメージ、しかしこれはお隣イランにあり、かのアレキサンダー大王により破壊され廃墟となったペルセポリス。ハラッパにせよ、ペルシャの都市を意味するペルセ+ポリスにせよ乾燥し過ぎて人の住める環境では無い。ブラジリアやベガスも同様だ。




イランやイラクと言うとアラビアンナイトの様なイスラム世界を思い出す人もいるかもしれないが、イランはアラビアでは無くペルシャの国だ。そして国名からも分かるがサウジやUAEはアラブの国だ。「アラブの春」が起こったチェニジア、アルジェリア、リビアなんかもアラビックだ。アラブ世界とペルシャ世界はイスラム教として一緒くたにされやすいが似て非なるものだ。



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太陽が北回帰線を通過し再び南へ向かう今が一番熱い時期と言えよう。その後は上述の通り徐々に冬将軍が南へと進軍し、張り出した太平洋高気圧を南に押しやる。その前線が気象における前線だ。夏直前の名は梅雨前線、そして秋は秋雨前線となる。赤道付近の熱い空気の塊である夏将軍と、極地方の寒い空気の塊である冬将軍がぶつかる前線だ。


風呂桶を思い出してもらいたい。風呂を炊いた時に上の水は暖かいのに下の方は冷たかった経験をした人はあるだろうか?温かい水や空気は上へと向かう。大洋で暖められた湿って重く温かい地表面を這う空気は、冷えて乾燥した上空に存在する空気とぶつかると、冷たい空気は下へ行こうとし、暖かい空気は上へ向かうため激しい対流を起こす。温度差が激しいほど対流が激しくなり、その激しい上昇気流が初夏や秋の大雨の元だ。そう日本列島に四季があり湿潤であるのはこの前線が季節ごとに横断する低圧帯に存在するためだ。



湿った重い空気が上昇して露点に達すれば、夏の熱い日に氷の入った冷えたグラスに水滴が付くように、湿った空気は水となり重力により下に落ちる。上昇するなら上記の様に冷たい空気と対流をすることで起こる上昇気流でもよければ、列島中央に位置する山脈により、湿った空気が上に吹き上げられることで起こる上昇気流でも同様だ。もしその2つが同時に起これば結果は明白だ。雨が降る理由が2つ同時に存在すればそれは暴雨となり、「激しい雨が続くでしょう」となる。つまり日本が湿潤で居られる理由は2つあり、高い山脈が列島の中央を貫いていることと、前線があることによる。






最近、「観測史上最大の降水量」や、歳を取ったおじいさん世代が「生まれてからずっとここに住んでいるが、こんな洪水今まで経験したことがない」などと言った表現を良く耳にするのではないでしょうか?もちろんたまたま降水量が多い年だったとかではなく、気温の上昇と密接に繋がっている。単純な話、温度が高ければ蒸発する水分も増えるのだ。



地球の気候は不安定性の上に成り立っている。雪や氷河で覆われた地表面が増えれば、アルベドが上昇し太陽光線を宇宙へ弾いてしまうため、寒冷化のスパイラルへ向かう。事実地球史ではこのスパイラルの最たるものとしてスノーボールアースと呼ばれる全球凍結になり大量絶滅を引き起こした。逆に一度雪や氷河が解け、太陽光線の入射と反射の収支であるアルベドが低下し、光が反射されることなく全ての太陽熱を受け取れば、雪が解け、氷河が消え、さらに温暖化への道を辿る事になる。今我々が立っているの所は明白だ。寒冷化のスパイラルではなく、地球のアルベドが低下し、太陽光の熱量を反射せず全量受け取る温暖化スパイラルのなかだろう。



その温暖化スパイラルに拍車を掛けるのが我々の経済活動だ。地球史によれば10万年単位で氷期、間氷期を繰り返してきた。ヴュルム、リス、ミンデル、ギュンツなどと言われ、直近最後に起こったヴュルム氷期の名を聞いたことがある人もいるだろう。その終焉とともに我々人類は世界各地に散らばり、牧畜農耕を覚え、産業革命までたどり着いた。そして科学技術の発展により、氷期と間氷期が「地球の自転軸の傾きの変化」や「太陽との距離が変わる公転軌道の変化」、「そして自転軸がぶれる歳差運動」により繰り返される事を発見するに至った。そうミランコビッチ・サイクルだ。もし地球の置かれた条件が過去と同じならばこのサイクルは繰り返されただろう。


産業革命の発端、オランダ海上帝国





しかしながら我々の科学技術は、ミランコビッチ・サイクルを発見すると共に、そのサイクルの前提条件を壊してしまう発展も遂げた。経済発展だ。我々がよく聞く温室効果ガスによる地球温暖化だ。氷河や雪が溶ければアルベドが低下するため、地球の不安定性から一方方向へ動きやすくなるにも関わらず、さらにその不安定性を助長するのが経済活動による温室効果ガスだ。この2つの温暖化スパイラルに乗り、ミランコビッチ・サイクルが機能しなくなり、地球史ではほんの一瞬に過ぎない10年、20年単位で気温が上昇している。




太陽から受け取る熱量が温室効果ガスにより保存され、宇宙空間に放射される放射冷却が阻害されれば、入射と反射の収支が過去と違い計算が狂う。そして太陽から受け取る核融合により作られる莫大なエネルギーは発散されるまで、エネルギー保存の法則から無くなることは無い。どのように発散すれば良いのか?簡単だ。莫大な量の水を蒸発させ地球の大気を対流させることで発散させれば良い。過去に前例が無いほどの水害が頻発するのは、太陽からのエネルギーを発散させるために、気温の上昇に伴う水分の蒸発が著しく増えたからだ。より気温が上がれば蒸発する水分が増え、より多くの降水をもたらすのは明白だ。つまり「今は以前より熱いなー」や「昔より水害が多いなー」は同義だ。




さて、今年の熱波は昨年を上回る勢いといっても過言ではないだろう。もちろんこの高温は、秋に訪れる不吉の前兆、異変の前夜でもある。大荒れの予感だ。かつて無いほどの短時間に集中する暴雨や、台風で多くの被害をもたらした昨年2019年の水害を上回っても、太陽エネルギー収支上はおかしくない。その予兆として地球の降水量が増えていることも明白だ。普段雨が降らない地域で雨が降り、その恩恵で増殖したバッタの大群。バッタの増殖は地球の気温の上昇を示唆し、そして気温が上がれば降水量が増え、降水量が増えればさらにバッタが増える。普段は飛ばないバッタも数が増え、密度が増すと群生相となり飛ぶらしい。







さて、そろそろ答え合わせの時間だ。中東でバッタが飛ぶようになれば、地球は灼熱地獄に襲われ、日本では大水害が頻発する事になるだろう。大荒れの予感だ。熱波も洪水も暴風も過去を凌ぐ観測史上最大だ。暑かった年の秋は、雨が多く降ると相場は決まっているのだ。アマゾンで蝶が舞えばフロリダはハリケーンに襲われ、中東でバッタが飛べば世界は熱波に襲われ、そして日本は台風に襲われるのだ。




温暖化スパイラルには、ウイルスの様な特効薬もワクチンも存在しない。溶け切るべき氷河や雪が全て溶けきりアルベドが安定し、経済活動により排出されるメタンやCO2などの温室効果ガスが、植物により固定される、炭素循環収支が安定し、そして太陽から受け取る熱量と蒸発する水分のエネルギー収支が均衡するまで温暖化スパイラルは継続し、その弊害として熱波や水害も規模を増す事になる。







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