2020/08/04

【一家心中】セブンシスターズ








世界で一番の金持ちと言えばAMZN株式の10%を保有するジェフ・ベゾスだが、その額20兆円に及ぶとか。つまりAMZNの時価総額は200兆円と言えるわけだが。最近離婚したマッケンジー元夫人に資産の25%を支払ったにも関わらずこの額だ。因みに女性で世界一の金持ちはそのマッケンジー元夫人だとか。つまり元々二人で28兆円ほどの資産を保有し、4分の1にあたる7兆円ほどがマッケンジー元夫人の取り分だ。



勿論上記の話は直近の株高が反映された結果であり、離婚した当時の資産額はもっと低かっただろう。因みに当時AMZN株はボロクソに言われ、「婦人と共に歩んできて成功したのに、幸運の女神が去った今AMZNの成長は鈍化する」とか、「婦人によるAMZNの爆売りで株価の下落は避けられない」とか、勿論株価はトランプ相場後の暴落もあり低迷。



話が大分逸れたが、このベゾスに匹敵する金持ちが大昔に居たとか。そうスタンダード・オイルの創業者、ジョン・ロックフェラーだ。その資産総額を現在の貨幣価値に換算すると20兆円とも30兆円とも言われている。石油事業の独占により暴利を貪ったスタンダード・オイル、しかしアメリカの世論がそれを良しとせず、作られたのが反トラスト法、つまり独占禁止法だ。かつてはAT&Tもアメリカ政府の標的にされ、アンチトラスト法により解体、ベライゾンとアメリカの通信市場を二分することに。AMZNはどこまで膨らむのだろうか?同じ運命を辿るのだろうか?



AMZN、週足チャート






さて、アメリカ世論の標的となり反トラスト法により解体されることになったスタンダード・オイル。1911年にシャーマン法(独占禁止法)により34社に分割され、いろいろな石油会社が誕生した。しかしその後、2つの世界大戦、イラン革命やエネルギー革命、、中東戦争、オイルショック、OPECの設立、産業構造の変化から、石油産業のアメリカ経済に占める地位は低下していった。かつての巨人もそれに伴いその地位を失っていき、独占的とは見なされなくなり石油産業は統廃合を繰り返した。


そうして生まれたのがセブンシスターズだ。共通の親としてスタンダード・オイルを系譜に持つ七姉妹だ。その後も石油産業の地位の低下は続き、かつてのセブンシスターズは今では五姉妹、ファイブシスターズにまで集約された。



スーパーメジャー
1、エクソンモービル(2014年度・売上高3941億ドル)
2、ロイヤル・ダッチ・シェル(2014年度・売上高4211億ドル)
3、BP(2014年度・売上高3587億ドル)
4、シェブロン(2014年度・売上高2004億ドル)
5、トタル(2014年度・売上高2361億ドル)
6、コノコフィリップス(2014年度・売上高555億ドル)




コノコはおまけ。しかしドットコムバブル崩壊後に、BRICSの経済成長によるエネルギー需要を当て込み、投機的な資金も相まって大幅に石油価格が上昇。再びかつての巨人はその地位を取り戻すかに見えた。リーマンショック前夜のことである。しかしその後の経済危機、そしてシェールオイル革命により大河の流れを覆すまでには至らず。また世界最大の石油埋蔵量を誇りアメリカと何かと対立する、ベネゼエラやロシアの力を削ぎたいという大国の政治的な思惑もあるだろう。ロシアの首を〆るのは簡単で、石油価格が低迷すれば良いと言う訳だ。




その石油産業の地位の低下は現在進行系だ。経済に占める石油産業の地位の低下は、新興の持続可能なエネルギー開発などに押される形で留まること無く、また環境問題のやり玉に上がり、かつての巨人も今では見る影も無いほどの小人となってしまった。



その小人を容赦なく踏み潰したのが、今回のコロナウイルスだ。原油価格先物は一時マイナス価格となるなど、かつての巨人はウイルスにいとも簡単に踏み潰されるほど小さくなった訳だ。また石油価格が下落した分を増産で補い収入を維持したい、産油国各国の囚人のジレンマで供給は留まることを知らず、しかし今回のコロナにより人、物のフローが途絶え実需はさっぱり消えてしまった。




https://www.nikkei.com/




石油メジャーは全滅だ。前年同期比ではどの企業も半分以下。また年率換算では、スーパーメジャーの2014年度の売上高には遠く及ばない。精製、輸送、販売などの下流部門の割合が比較的大きいXOMが少し健闘しているが、それでも赤字だ。油田開発の上流部に重点を置くそれ意外の企業は、石油価格の低迷から保有する油田の減損処理に迫られ大幅な赤字だ。また現状の人や物の移動の制限がいつまで続くか分からない状態では、この流れは継続する公算だ。



第一四半期決算で多くの企業が減配や無配に転落。今回の第二四半期決算で石油メジャーの減配は今の所聞かれていないが、このままではジリ貧だ。配当の源泉である利益が無ければ息が詰まるのも時間の問題と言えよう。



市場のコンセンサスは1917年、1918年のスペイン風邪と同様、今年冬の第二波が第一波を遥かに凌ぐ規模で襲い掛かるというものだ。今は春一番が通り過ぎ、夏の気温上昇により小康状態といったところか。しかし小康状態を良いことにクラスターの種をばら撒いているが現状で、冬本番となれば撒かれたクラスターの種が芽を出し、大輪を咲かせる可能性が囁かれている。高配当のエネルギーセクターは手出し無用だろう。現状、必要なのは石油では無いのだから。




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