「刀は絶対に抜くな、抜くならば切れ。」普段動かない事で定評がある私です。もちろん持論が「トレンドは続くからトレンド」なんで何も無いところでは動きませんよ。さて、「上だー、下だー」と遊ぶのも終わりの時間帯です。刀は抜きませんよ。絶対に殺れるところ以外は。
さて、月曜日のブラックマンデー、楽しんで頂けました?歴史を目の当たりにしたご感想は?サーキットブレーカーでトレンドフォロー型の機械が焼き尽くされたのを見ました?急に注文が通らずバグった機械も多そう。もちろん記録ずくめで滅多に無いことだろうと考えている人が大半でしょう。しかし今回のこれは余震の予行演習で、さらに大きい本震がすぐに来るのですが。。。
まずはチャートを確認してみましょう。
SP500、日足チャート
出来高に注目してください。今までに無い大陰線で大きく下落した月曜日。2月末の下落よりもさらに大きく、安い水準まで下げたのですが、出来高は2月末の方が大きいです。何故でしょう?今回の下落の方が出来高が上がって然るべきなのに、何故そこまで膨れ上がらなかったのでしょうか?
こちらは別のチャートのSP500、週足チャート、
トレンドラインに注目してください。2月末の下落では丁度トレンドラインがあります。しかしながら月曜日の下落では、落ちるナイフの突き刺さる地面がありません。つまり誰もこんなところで反転するなんて考えて無いんですよ。もちろん安値で買い付ける資金がある程度入ったので出来高も膨れ上がったのですが。。。
2月末に私が動いたのは、もちろんこのトレンドラインで反発することを期待して。まあ一度は反発したものの、結局買いは続かず、落ちてくるのですが。そして先週末にチャートの形が長い上ヒゲだったのを確認して、最悪な事態を察知し、こちらの記事を書いたのですが。。
ブログの新記事 : 来週は悲惨な予感 https://t.co/L0WYpZ43jv pic.twitter.com/G2j9VjZTCv— 難波のあきんど (@akinainohibi) March 6, 2020
これを見ればいつ買えばいいかは明らかでしょう。このスピードならば到達するのはFOMC直前。このトレンドラインは、リーマンショック以降全ての下落を止めてきた鉄壁です。ギリシャショック、チャイナショック、18年末のクリスマスショック。つまり誰もが意識しており、大きな買いが入る可能性があり、そこにFOMCで何らかの支援があれば、本来ならば反転して当然と言えるのではないでしょうか?本来ならば。。。
さて、今回の下落の要因は何でしょうか?もちろんコロナウイルスによる経済危機です。何故経済が危機に陥るのでしょうか?これはウイルスの拡散を防ぐために、人、物の動きが世界中で滞り始めたため。グローバリゼーションとは、国をまたいで行き来する、人、物、お金のやり取りなのですが、そのうちの2つが止まれば経済に打撃を与えるのは当然ですね。
それに対し各国の中央銀行は、人、物の流れを円滑にする措置ではなく、お金の流れを円滑にする措置を打って出ました。FRBの0,5ポイントの緊急利下げですね。
ブログの新記事 : 速報、Fed、0,5ポイントの緊急利下げ https://t.co/gcbaiq8RLF pic.twitter.com/ZLbNTwyqWy— 難波のあきんど (@akinainohibi) March 3, 2020
もちろん今回の緊急利下げが決して効果が無いとは言いません。金利が下がれば資金が借りやすくなるため、収入が断たれたなか当面の資金繰りに不安を抱える可能性は減るでしょう。借り入れコストがゼロに近いため、お金を借りてやり過ごせばいいので。しかし本当に必要な措置はやはり人、物の流れを円滑にしてやることではないでしょうか?
それを見透かした金融市場は、FRBの緊急利下げにも関わらず株式の下落は止まらず、今なお下落の最中にあります。中央銀行の施策が大衆心理に飲まれたわけですが。。さて、トレンドラインにすぐに到達するであろう下落傾向の株価に、金融緩和のパウエル砲を打ってもまた同じ結果になるのではないでしょうか?問題の根底にあるのはお金の流動性ではなく、止まってしまった人や物の流れなので。
人や物の流れが復活すれば、すぐに経済は浮上し、株価も反転上向くと言えそうです。いつでしょう?もちろんコロナウイルスの感染がピークに達し鈍化すれば、再度我々は動き始め、動かし始めることでしょう。また季節的な要因も我々に味方しそうです。冬が終わり、暖かくなれば多少の風邪くらいで動揺するこもなくなりそう。
直近の傾向を確認してみましょう。
左が国ごとの感染者数、そして右が世界地図に統計情報を組み込んだ流行地の動向です。イタリアではすでに1万人が感染。スペインやドイツ、フランスでも指数関数的に増加しているため、今のイタリアは1〜3週間後のスペイン、ドイツ、フランス、アメリカなど欧米各国の姿と言えるでしょう。また一番早く感染の広がったイタリアでも、未だに増加傾向で、今週に入りやっとすべての移動に制限を掛けたそうなので、潜伏期間が10日だとすると、後一週間は継続しそうです。
次は地図を確認してみましょう。感染の流行地は今が夏の南半球より寒い北半球。人口密度が低いところよりも高いところ。そして都市化率が高い先進国と言えそうです。つまり人や物の移動が活発で寒いところほど流行の度合いが大きいです。まあ寒ければ風邪の1つや2つ引くわな。そして小さいコミュニティー単位でしかフローのないところでは流行が限定的で、大きい地域単位でフローが活発なところは大きく感染が広がっています。もちろんそういったところほどグローバリゼーション経済に組み込まれているので、人、物の移動が止まれば打撃も大きいでしょう。そのため今回の経済危機の根底にあるのはこのグローバリゼーション危機と言えそうです。
こちらのグラフは感染者数を折れ線グラフで表したものです。一番上のオレンジ色の線が中国での感染者数。2月末から横ばいです。そしてその下の緑の線が回復者です。しかしながらこれは中国での動向が大きく、世界全体での実態を適切に表しているとはいえません。そして一番下の黄色の線が中国を除いた世界全体の感染者数。
もちろん条件が変わってくるので一概に比較することは出来ないのですが、もし同じ経緯を辿るとすれば、我々の立っているところは一ヶ月前の中国だと言えそうです。現時点の世界全体の感染者数は4万人ほど。この数字は2月始めの中国での感染者数。その後横ばいになるまで2〜3週間を要しているので、世界全体の感染者数が横ばいになるまでには早くても2〜3週間必要と言えそうです。そしてさらに感染が移転すれば流行のピークはさらに遅れる事に。
つまり流行のピークはまだ先であり、早くても3月末。もしこのタイミングでFRBが動いてもまた前回の緊急利下げと同じ結果となりそう。しかし動かなければ、リーマンショック時のアメリカ合衆国下院が緊急経済安定化法案を否決した事態になりかねない。
こちらも参照
ブログの新記事 : 今月17、18日のFOMCが当面の目処 https://t.co/CcLVJlhqZQ pic.twitter.com/YoPWzrA0JU— 難波のあきんど (@akinainohibi) March 8, 2020
適切なタイミングで対策を打たなければ緊急利下げと同様の結果となり、効果は薄いでしょう。しかしながら何もしなければ、リーマンショックの轍を踏むことに。重要なのは実際に何が行われるかではなく、計画があるように見え、何かを行うという意欲が見られることでしょう。今回のFOMCでは利下げはされるでしょう。しかし量的緩和や資産の買い取りなどは示唆されても、今すぐに行われるとは考えにくいです。適切なタイミングでは無いからです。
もしここで全弾撃ち尽くし、再び大衆心理に飲まれれば、打つ手が無くなってしまいます。そういう事態に陥らないためにも、適切なタイミングで対策を打つ必要がありそうです。切り札は最後まで温存するんですよ。確実に切れる時まで。
さて、我々のトランプ大統領はどうするのでしょうか?まずトランプ氏にとって一番良いのは、今回の逆境を逆手に取って、自身の功績に結びつけ大統領選を有利に運ぶことではないでしょうか?つまりコロナウイルスの感染を封じ込め、そして経済、株価を再浮上させることです。また株価が上がるほどトランプ氏の株も上がると言えそうです。また下落すればするほど上げた時のインパクトは大きいので、トランプ氏の実績も大きくなると言えそうです。
つまりトランプ氏に取って一番いいのは、株価が反転し反発の度合いが大きいほど有利ということです。トランプ氏は内心、今の株価の下落を見てほくそ笑んでいるのではないでしょうか?またさらなる株価の下落を期待しているのではないでしょうか?その方がトランプ氏の点数が上がるので。
英語の得意な私が大統領の意を汲んで翻訳れば「売って売って、売り尽くせ」とのこと。
今は動かないでしょう。直近FRBの緊急利下げが大衆心理に飲まれたのを見ているので。もし伝家の宝刀を、打出の小槌を振るうなら、こちらも適切なタイミングという事になりそうです。そう確実に反転させるべく、コロナウイルスの収束の目処が立ってからと言えそうです。つまりコロナウイルスを封じ込め、経済を復活させた実績を全て自身の功績にすべく。下手に動き、収束の目処が立ってないのに対策を打ち、後手に回るのは避けるでしょう。
3月は奇しくも日本では決算期であり、アメリカでも四半期決算、半期決算です。不動産経営を半世紀に渡って行ってきたトランプ氏なら、今後企業が悪い決算を出してくる事を予見しているでしょう。またこの機会に乗じて今までの損失を詰め込んでくる経営陣や経理も多いことでしょう。
全部コロナのせいって訳ですよ。つまり株価は企業の悪い決算を織り込みに行き、ここからさらに下げると見て間違いないでしょう。何故なら企業だって損だしのため、損失確定の株式の売却を行い、3月末までは売りが続くこととなりそう。そして4月からは決算発表があるので、悪い決算を織り込みに行きさらに下げる可能性も。
もしトランプ氏なら、コロナウイルスの感染者増大により大衆心理に飲まれる可能性を避け、また実弾となって降り注ぐ損失確定売りや悪い決算を避ける形で伝家の宝刀を振るうでしょう。確実に自身の実績とするために。十分に下げきってから。。。
さて、もう一度株価を見てみましょう。
SP500、週足チャート
今まで全ての下落を弾いてきたこのトレンドラインに、今の株価の下落スピードならそうそうに到達することでしょう。そしてとてつもなく大きな資金を飲み込み一度は反発することでしょう。しかしその後どうなるのでしょうか?未だ収まらないコロナウイルス。最悪な決算や空から降り注ぐ損失確定売り。
全ての投資家が余力を使い果たし、売りでしか身動きが取れなくなった時に起こることは「アレ」しかないんですよ。多くの投資家に取って一番嫌な方向へ転がる市場の性質からいっても。そしてトランプ氏はこれを避けるためにも、またタイミング的な問題からも、トレンドラインで飲み込んだとてつもない資金は一斉に出口に殺到することでしょう。
今の下落はまだ半分と言えそうです。もちろんトレンドラインで大きな買いと共にパウエル砲により弾かれ反転する可能性もあれば、私が考える以上にトランプ氏が早く対応する可能性もあります。またその逆で出来るだけ下落を引きつけ、自身の功績を最大化するためにタイミングを遅らせる可能性もあります。
しかし私の予想としては、「ここで反転するだろう」と考える大多数の投資家は裏切られることになる、ということです。そもそも株価とは大衆の逆を行くものなので。さて、逆転満塁サヨナラランニングホームランに賭けてみますか?それにしてもランニングホームランで満塁ホームランなんて打てるんですかね?
まあ総悲観は買いですよ。。。
お勧めの記事
こんな何も無いところで動くべきではない。当たり前だが流れは変わらない。— 難波のあきんど (@akinainohibi) May 29, 2019
難波のあきんどの、今日も商いの日々: 大河の流れが変わる時 https://t.co/mT3F85Wfv1
トランプ氏、ハードルの設定をチマチマ下げている模様。— 難波のあきんど (@akinainohibi) May 31, 2019
ハードルは低ければ、低いほど超えるのが簡単。。。
過去記事です: FRBパウエル議長就任前の秘密の御前会議 https://t.co/V6d3wBUyjf
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