2019/05/30

指数全盛期



もし市場が効率的に動くなら、
市場の歪みなど一瞬で解消され、
概ね妥当な価格で投資家は買うことになる。
この間、対費用効果が一番高いのが、
指数のバイ&ホールドだろう。

まず投資銀行やヘッジファンドが、
莫大な運営コストを掛け、市場の歪みを矯正する。
もちろん、リターンが一定の場合、
運営コストが高いほど、手元に残る利益は減る。
結果、ヘッジファンドは1、2年の短期的には、
指数に勝てても、長期的には負けることに。

どうせ指数に劣後するのだから、
高給取りのファンドマネージャーは要らない。
指数を買って、サルにバナナを与えておけば十分。
これは、個人の運用でもまったく同じことが言え、
必要経費などと言葉を濁す人が多いが、どう考えても、
ファンドマネージャーは、必要経費ではない。

よくあるパターンとして、高額な情報を購入したり、
無意味なサロンや、勉強会などと証した
セミナーに参加するのも含まれる。
雑誌や新聞、ニュースレターも、
運用においては、必要経費とは言えない。
投資信託や良く分からない金融商品は論外。
均せば指数を買っているのだから、
経済の上昇、生産性の向上に賭けている訳で。。。
もちろん交友関係を広げるためだったり、
個人の教養として、新聞、雑誌を読むのは良いことだが、
資産の運用面では、コストでしかない。



因みに、すべての市場参加者の損益の合計が、
指数になるのだから、その指数から運営コストを
除した分だけが利益になる。
運営コストの高い参加者が、
平均的に見て指数に劣後するのは当たり前。
これは、投資信託でもETFでも同じ。
言い方を買えれば、運営コストは低い方が優秀と言える。

金融機関の次に運営コストが高いのは、
やはり個別株の売買をする個人投資家だろう。
そもそも運営するのに、人件費などのコストを掛けない。
彼らは、プロが必死になって値札を付けた銘柄に
ただ乗りするだけで、妥当な価格で購入できる。
もちろん取引回数が多くなれば、コストは嵩むし、
大数の法則が作用するには、ある程度の規模が必要。
よって大抵の場合、平均に収束する前に、
指数と優劣を競い始め、コストが嵩んでいくことになる。

もちろん、プロと個別株の売買をする投資家の、
損益の合計は、指数からコストを引いたものになる。
つまり、全ての取引を一人で行ったと考えた場合、
それは、結果的には指数を買ったと同じことだが、
リターンは、取引手数料などのコストを引いたものになる。
指数を買えばコストが掛からない分、優秀と言える。

ではなぜ、市場参加者の指数に対する勝敗が五分五分ではなく、
市場参加者の80%が指数に負けるのか?
一部の資金を持った人々が勝ち、大多数の弱小投資家が
負けているから、などと言われている。
金持ちなら、頻繁に売買したり、リスクの高い商品に手を出さなくても、
安定した収益の見込める低リスク、低リターンの金利収入だけでも莫大で、
結果的に失敗の少ない運用がリターンを押し上げる。
逆に貧乏人は、一発逆転に賭け、資金を投じるために、
リターンを押し下げ、指数に劣後する、などと言われている。



これはステレオタイプでどう考えても違う。
なぜなら、例えリスクが高い商品を売買しても、
誰かの損失の裏には、他の人のリターンがあるのだから、
市場参加者の勝敗は五分五分にならなければおかしい。
また資金を持った、金融機関などでも、
頻繁に指数に劣後している。
もし資金量が勝敗を分けるなら、
あっしの保有するメガバンクの株は、
当たり前だが、指数に勝っていなければならない。
もちろんメガバンクが劣後するのは、
投資家から預かった資金を効率的に運用できず、
莫大な運用コストが掛かっているから。

(注、銀行は社会インフラとして必要、
銀行がなければ、家も買えないし、事業も起こせない
単純なリターンで、指数と比べるべきではない。
融資なんてせずに、窓口業務は全て廃止、店舗もすべて売却し、
運用先は指数にすれば、たしかにリターンは増えるが。)

指数に負けるの人が多いのは、運用コストと行動経済学が関係してくる。
もしコイントスで寄り付きに、買いか売りを決め、
引けで決済した場合、半々で勝敗は分かれ、
回数を増やすほど、リターンは0に近づく。
そこから、手数料分のマイナスになる。
もし人間の裁量で、取引をさせるとどうなるのか?
実は、やればやるほど、資金が0に近づく。
手数料のコスト以上に、損失が早く蓄積される。
もちろん手数料も無視できない金額に。

なぜかって?答えは行動経済学。
損失の痛みの方が、利益の喜びに勝るため。
そのため利益は放ったらかしで、損失は確実に確定することに。
売買回数が多ければ多いほど、
損失を確定する回数は増えることになる。
なぜなら、裏か表は2分の1の確立で出るが、
例えリターンが出ていても、マイナスに転換することもある訳で、
損失のみ確実に確定していけば、当たり前だが、資金は尽きる。

もし行動経済学の落とし穴を回避したいなら、答えは簡単。
売らなければいい。売買手数料も回避できる一石二鳥。
もちろん、広く分散されたポートフォリオを築くか、
指数に投資する必要があるが。
インデックスを買うのが、一番騙されにくく、
投資家に利益をもたらし、得をする。
指数を購入した年のリターンは、
もちろん取引手数料が掛かるため、指数に劣後する。
ただし次の年以降、何もしなければ、
それだけで20%側の投資家になれる。
この「何もしない」の何たる難しきこと。
80%の市場参加者ができないといえる。

1 件のコメント:

  1. 先生の仰る事は、説得力有り過ぎ!

    「市場が効率的に動くのであれば」
    おいらも、100%、先生を支持したいです。

    「でも、現実は、違ってんだろ!」
    って、言うところを、
    先生は、どれくらい、考えておられるのか?

    書きたい事が、凄くたくさん有るんだけど、
    時間が無いので、
    また今度書くか、自分のブログに書いて行くつもりです。

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