2019/08/26

日米貿易交渉合意、向こうの要求は呑まされた上に、小麦とトウモロコシを売りつけられる




日本の対米貿易収支は大幅な黒字なため、ある程度の要求は呑まざるおえない。そうでなければ中国の二の舞に。しかしながら今回の交渉は、アメリカの要求は全面的に認めた上で、こちらの要求は、何一つ呑ませる事ができなかった外交的敗北。もちろん背景にはそれ以上に大事なことが。。



今回の交渉は米中貿易戦争で被害を被ったアメリカの農家の損害を肩代わりさせられた側面もある。もちろん割りを食うのは日本の米農家で、ただでさえ食料自給率が低いのに、大量に米、小麦、トウモロコシを買い込めば、自給率はさらに悪化し農家の減反が捗ることに。

国際分業や自由貿易は悪いことではない。日本ではそもそも大型機械の導入に適した、平らで広大な土地が無く、また農家の働き手は高齢化で跡取りがいないのが現状。逆にアメリカは、まばらな人口に広大な土地があるため農業生産に適している。





日本は人口が沿海都市部に集中しており、労働力集約型の産業の方が適していると言える。産業の規模、産業の裾野、産業の集約があって始めて競争力のある製品が生まれ、工業地帯が沿海部に集中していることで、物流の主役である海運が輸出産業の両輪として機能する。これは中国でも全く同じで、工業化により非常に早く発展した沿岸部と、取り残された内陸部ではっきり分かれている。

都市化と工業化には密接な繋がりがある。もちろん産業の主体は第三次産業のサービス業であるが、輸出企業は経済の貢献度が大きい。資源に乏しい日本は、第一次産品の農業や鉱物資源と観光業に頼った第三次産業だけでは、1億人の国民を養えない。何か他の国に出来ない付加価値を提供する必要がある。それこそが工業製品の輸出産業。

中国の発展によりパワーバランスが崩れかけている世界秩序。もちろんそれを見過ごすわけにはいかず、再構築する必要に迫られている。中国の頭を押さえつける様なことはせずに、まずは東南アジアの発展を助けることで、パワーバランスを再び均衡に持っていきたいアメリカ。そのためにはやはりサプライチェーンに東南アジアを組み込む必要があり、事実トランプ政権はそれを実行。世界の分業体制に世界貿易を通して東南アジアを組み込めば、新たに米国企業の進出が目論める、ニューフロンティアになる。

もちろん増大する中国のパワーに立ち向かうには、日本と強固な関係を構築する必要がある。韓国との軍事協定を破棄された日本にとって、今回の日米貿易交渉は、この日米の強固な関係を再確認する非常に重要な交渉だったと言える。。





お勧めの記事







0 件のコメント:

コメントを投稿