金融緩和の出口戦略はいつだって手探りだ。今がその適切なタイミングかどうかは誰にも分からない。そう、後になってみないと適切だったかどうかわからないのだ。言い方を変えれば後からなら批判するのも肯定するのも簡単で、どうとだって言える訳だ。つまり未来のことは絶対に分からないと言える。
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しかし分からないからと言って、手をこまねいて静観するだけではいけない。連邦準備制度の責務として、雇用の最大化と経済の安定の両立を図らなければならない。さて、皆さんもご存知の通りコロナショックの影響で失業率は増大、しかし以降の金融緩和でインフレが進み経済は不確実性が増している。
そして今Fedが岐路に立たされているのは明白だ。雇用を取るか、経済の安定を取るか?失業率がまだまだ高い水準にある中、現状のインフレを抑制するために量的緩和の縮小を行えば、失業率が高止まりし景気が中折しかねない。逆に雇用を最大化させるためにインフレを野放しにすれば、物価高騰や投機熱により経済を不安定にしかねるだけでなく、問題の先送りは来たるべき事態の深刻度が増すことを意味する。日頃からアイキャッチ画像に使用しているリーマンショックだ。
現在のFedは、雇用のためにインフレを黙認するか、インフレを抑制するために失業率を黙認するか選ばなければいけないところまで来ている。また金融市場も同じことを考え、Fedの今後の政策に影響を与えるであろう、ちょっとした情報が出るたびに金利が大きく動き、この事に敏感になっている。
ドル経済圏により達成された、ドル建てによる自由貿易と世界秩序。ドルの供給を管理するFedは世界の中央銀行と言える訳だが、その頭取であるパウエル議長だって人の子だ。出来るだけ事態を見極めてから政策を決定したいし、出来る限り効率性を追求したい。例え両立しないとしても、出来る限り経済を安定化させ雇用の最大化を目指したいのだ。
我々が今どこに立っているのか誰にも分からない。すでに経済は軌道に乗っており、量的緩和の縮小に耐えられるほど強靭で雇用は今後も増えるのか?それとも経済は未だに脆弱でテーパリングなど行えばたちまち逆戻りしてしまうのか?我々が唯一分かるのは辿ってきた軌跡だけだ。
分からないなら取り敢えず何もせずに、もし何かした場合の市場の反応を見極めたい。つまりジャブを打ってみる訳だ。もしテーパリングを示唆した場合に市場はどう反応するのか?もし示唆しなかった場合に市場はどう反応するのか?またその具体性も重要だ。どの程度具体的な内容となるのか?
直近までのFOMCでは、テーパリングにまったく言及してこなかった。今はテーパリングに関しての議論をする時期にあたらないと。ではその時期とはいつなのか?そろそろ出口戦略に関して議論する頃だと考えるのは私だけではないはずだ。つまり適切な時期にテーパリングを行うための議論を始めるべきだと。。。
今週15、16日の日程で行われるFOMC。もし上記の発言がなされた場合、市場はどう反応するのだろうか?それは直近の市場の値動きが全てを物語っている。不安定な値動きだがじり高傾向で、Fedの政策に関与しそうな情報が出るたびに大きく動く相場だ。そして金利が上昇すれば株式市場は重くなり、金利が低下すると株式は上昇。テーパリングの示唆により動いたとしても一時的だ。現状は惰性でも動くのだから。。。
ここからは私見だが、すぐにテーパリングは行われない。今はそれを市場に織り込ませ始める時期だ。まだまだワクチンを打っていないアメリカ人も多く、また世界中で見ればワクチンを打っていない人が殆どだ。この状態でテーパリングを行えば、溢れ出たドルのお陰である程度体裁を保っていられた脆弱な国が打撃を受け、それがアメリカにまで波及するからだ。
もう少し景気を加熱させ、惰性でも十分上昇できるところまで助走を付けてからでないと量的緩和の縮小は行えない。世界はまだ病み上がりと病人の狭間で量的緩和に押されて歩いているのが現状だ。押す加減を弱めればすぐに失速してしまう。しかしいつまで押すのか?どの程度まで押すのか?今議論を始めなければ、暴走するまで押してしまう事態になり兼ねない。
具体的なテーパリングの言及は避けながらも、議論の余地があることを認めるなら今がその時期だ。そして市場は短期的には反応するだろうが、その程度は直近の値動きからすでに織り込まれているため戻す。今は動かない事が懸命だ。休むも相場だ。不安定な市場に付き合っても振り回され、疲れるだけで得る物より失う物の方が大きい。。
おすすめの時期
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