2019/07/07

マネックス、楽天、米株手数料引き下げは今日から、仁義なき戦いを制するのは?





まずは批判から。
マネックス証券からアメリカ株の最低取引手数料が、業界最安値の10セントになされるとの報道があった翌日、追随するように楽天証券から、手数料の改定が発表され、最低手数料が1セントに引き下げられた。投資家に取っては朗報と思われる今回の発表だが、実際には0,45%の取引手数料に変更は無いため、殆どの投資家には関係がないと言える。なぜなら、大抵の投資家は10万円単位や1000ドル単位で買い物をし、概ね5ドル程度の取引手数料を支払っているため。つまり、業界最安値を歌いたいなら、この0,45%の最低取引手数料が引き下げられなければ評価されない。つまり評価されたいなら、現行の0,45%の半分、0,2%くらにしなければいけない。もしくは、一回の約定単価の最高が5ドルで、最低は1セントから。

騙された投資家は、数学的センスが絶望的なので、積み立てNISAで指数、定期買い付けがお勧め。





今回の発表は両社とも、過去の投資家の行動パターンから、殆どの投資家がまとまった金額で買い付けている事実を見抜き、今後もその傾向が継続する方に賭けた模様。例え手数料を引き下げても、まとまった金額で購入すれば、現状と同様に5ドル程度の手数料を支払うことになる。今回の手数料の引き下げは、手数料収入に与えるインパクトは小さいが、「業界最安値」という、うたい文句の宣伝効果が高いため、導入に至った模様。そもそも国内株式が取引のメインで、殆どの需要が国内株式のため、全体からの収入から見ればアメリカ株の取り扱い手数料は小さく、また10万円ほどの金額で買い付ける投資家が多いため、アメリカ株の取り扱いからあがる手数料へのインパクトは小さい。しかしながら、今回の撒き餌で、米国株の取引を始めた投資家が、そのうち国内株式にも手を出すことは予想がつく。つまり、手数料収入は変わらないが、宣伝効果が高く、顧客を囲い込むために導入されたといえる。

もし証券会社の思惑が外れ、5万円、1万円、1000円単位で取引をする投資家が増えても、収入は変わらない。1万円の取引が10回行われれば、それは10万円の取引一回と変わらず、0,45%の手数料収入が維持される限り、投資家が支払う手数料は、まったく変わらないことを意味する。つまり証券会社には、宣伝効果という明確なプラス要因があるが、個人投資家には、今回の改定で得することは無い。つまりぬか喜びだったということになる。また、最近は証券会社の競合が増え、ワンタップバイの様なサービスが出ているが、今回はこれらの小額から始められる株式投資を狙い撃ちにした構図が伺える。千円単位で取引できるワンタップバイは、今回の改定で価格競争力を失い、また取り扱い銘柄が少ないことから、まったく魅力のないサービスになってしまう可能性が高い。今後はSBIも追随するのではないかと思われる。





今回の改定で得をするのは、今まで一回の約定単価が1000ドル以下で、割高な手数料を払っていた投資家や、また買い付け頻度を増やしたい投資家となる。例えば、今まではBTIを10万円分買っても、1万円分かっても5ドルの手数料だったが、今後は1株37ドル(3700円ほど)でも、1000ドルでも同じ0,45%の手数料となる。つまり、ワンタップバイと同様に小額から始められ、ワンタップバイにない銘柄を買い付けることができる。

では最低手数料の1セントと10セントの違いとは?これは3000円、30ドル以上の買い付けでは、双方とも同じ手数料となる14セント程度で関係がない。しかしGEのような20ドル以下の株を買い付ける時は、楽天の方が若干手数料が安くなると言える。10ドルの0,45%は4,5セントだが、マネックスでは10セントの手数料が掛かり、楽天では4,5セントの手数料で済む。まあ「だからどうした?」と言う金額だが。そもそもGEを一株買いたいという、そんな奇特な投資家はいないだろう。そして一番手数料差が大きくなるのは、3ドル以下の買い物をした時で、マネックスは10セント、楽天は1セントと十倍違うということになる。現行の5ドルからすれば、大幅な違いと言えるが、3ドル以下の株を一株買いたいという、奇特なヒトは居ないので、楽天でもマネックスでも変わりはない。。

つまり、ほとんどの投資家にはまったく関係なく、我々一般投資家はまったく得しない。割りを食うのはワンタップバイで、就職前の、お小遣いを捻出して投資していた世代は、今後はさらに選択肢が増えることを意味する。それにしても、1万円分のBTIを買って、700円の配当を期待したり、BTIを1株買って、200円程度の配当を期待するオッサン小学生とか嫌だな。完全に子供部屋オジサンの逆バージョンか。



今回の勝者は楽天か?金融事業一本のマネックスよりも、楽天経済圏擁する楽天なら、今回の改定で楽天証券に口座を開設する動機となり、楽天教に入信させる入り口となる。つまり今回の改定で直接利益を出せなくても、楽天なら薄利多売の楽天経済で、プロ野球からクレカまで、いろいろなサービスを回転売買させれば、利益は後で付いて来る。しかしながら、金融一本で飯を食ってるマネックスやSBIにはそれが難しい。

米国株ブログ村では今回の改定を、過去の両社の行いから、「信用しない、不信感しかない」などと言った、あまり歓迎されていないブログやツイートを見かけるが、これはお門違い。例えば、「楽天でポイントが削られた」とか、「ライブドアの子会社の株式の信用担保能力の評価をゼロとすると取引日の日中に突然発表し、株式市場の連鎖的な混乱と暴落を引き起こしたから」とか(マネックスショック)。こういった批判は、今回の件とは関係がない。
正し、「信用しない」というのは事実で、一見安くなった様に見えるが、0,45%の手数料は据え置きのため、投資家にもたらす恩恵は限定的で、騙されてはいけないし、「取引手数料が安くなる」などと信用してはいけない。結局今まで10万円単位で投資していたが、それを今後5万円単位にしても、2回行えば、同じ手数料を支払うことになるのだから。つまり結果はまったく変わらない。





こっからは肯定的な意見。
今回の改定により、投資の幅が広がるのは事実で、現行の手数料では、幅広い銘柄を少しずつ買い付ける場合は不利で、取引手数料が高くなってしまっていたが、今後はこれが可能になる。現行はこの取引手数料を回避するため、ETFが推奨されていたが、DIA程度の30銘柄で構成されたダウ指数なら、自力で作れることになる(30銘柄を一株ずつ買い付けた場合必要になるのは4000ドルほど)。つまり、もしDIAを4000ドル分買った場合も、ダウ指数の30銘柄を一株ずつ買った場合も、手数料は同じで双方とも18ドル前後になりそう。しかしながらこの場合、信託手数料が削れるので、結果的にはETFより個別株の方がお得と言うことになる。

また、ETFは下落と上昇の波をお互い相殺して、潰し合うことで上下変動が抑えられ、値動きがマイルドになるが、個別株でこれを準備した場合、この波の変動の少ないETFの利点を利用しつつ、個別株の利点である大きい波の上下運動を損益通算に用いることが出来る。つまり、下落幅が大きかった個別銘柄でも、ETFでは動きがそれほどなく損益通算に向かなかったが、今後はこれを損益通算で、税金の繰り延べが可能になる。もし50万円分をDIAに一括投資しているなら、今後は個別株でダウ指数を買い、下落幅が大きかった銘柄と配当を損益通算で相殺し合い、税金の支払いを先延ばしし、税金分を複利で運用できることになる。もちろん信託手数料を回避しながら、その分すらも複利で運用。また取得単価の意図的変更が可能になる。利益が大きい銘柄と損質が大きい銘柄を相殺して、利益を圧縮しておけば、未来の含み益に対する課税が少なくなる。

まあデメリットとして30回、買い注文を出す必要があるが、その内30銘柄を1株ずつ、ワンクリックで成り行き買いできる、ダウ指数個別株ボタンが出来そう。もし資金力があれば、同様のことを他のETFでも出来る。今後はETFの保有割合を個別株で調達する、個別銘柄ETF保有割合戦略が流行る。。。最低取引手数料の現行の5ドルから1セントと、大幅な値下がりは、今後投資家の選択肢を増やすことになる可能性も。




いかがですか?証券会社さん。ETFを個別株でワンクリック一括取得できるボタン。で年末の最終営業日に利益と損失が大きかった銘柄と配当を相互にぶつけ合い、自動で損益通算ができる、最適化設定。「ETFを個別株でワンクリック一括取得できるボタン」は特許も狙えますぜ?SBIさん、マネックスさん、楽天さん、いつでも案件まってます。


ETFの利点はこちらを参照


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