2019/09/05

米中貿易戦争まとめ




まずこれだけは言って置くが、貿易戦争は序章に過ぎず、今後は覇権を賭けた冷戦の様な構図になる可能性が高い。米中冷戦とはもちろん基軸通貨擁するアメリカと、それを一帯一路やAIIBの影響力を駆使して脅かす中国との対立。いくら広大な国土を有する中国と言えど、15億人の人口を養うには、工業製品を輸出して資源を輸入せざるおえない。対してアメリカは中国の国外への進出を阻み、世界秩序を維持したい。

因みに中国の人口は公式には14億人と言われているが、大部分を占める内陸部の農村部では、戸籍を持たない、統計に表れない闇っ子が一人っ子政策の弊害から沢山いるらしく、「15億人や16億人の人口を実際には抱えているのでは?」と言われている。




米中貿易の取引規模をドル円100円でざっくり語ると、アメリカが50兆円の輸入に対して中国は10兆円と5倍の開きがある。よく正面から殴り合ったら中国は勝てないと言われるのはここにある。もし同率の関税を掛け合えば、規模の違いから中国の影響の方が大きくなる。

しかしこれは詭弁でもある。別に中国としては、アメリカに付き合って同率の関税を掛ける必要は無く、同額になるように関税を掛けることも出来る。まあ某大統領は大そうご立腹になるだろうが。。どういうことかと言えば、アメリカが50兆円分に20%の関税を掛け10兆円規模となるならば、中国は5倍の100%の関税を掛ければよく、アメリカに対して同額の10兆円規模となる。今まではアメリカに屈服する訳でもなく、かと言ってアメリカを刺激することもなくそれなりにやって来たが。。。

しかしそれでは、トランプ大統領には不十分の、時間稼ぎとしか受け止められず。しかしトランプ氏としても、急激に中国製品がアメリカ国内で値上がりすれば、アメリカ国民の懐も痛むため、国内事情に配慮しながらの関税の掛け合いとなる。

ただしアメリカ人の懐が痛むというのは目の錯覚で、アメリカ国民が関税の影響で多く支払った金額は、アメリカ政府の懐に入るので、アメリカを一つの財布としてみた場合、損得はゼロだと言うことが分かる。しかし中国の立場は違う。中国製品の価格が上がれば、価格優位性や価格競争力を他国に対して失うことになる。そうサプライチェーンから中国が外されれば、中国は資源の輸入のために必要な外貨獲得の手段と、輸出製造業に従事していた人の雇用を失うことになる。事実ベトナムが今、中国から生産拠点を奪っている模様。





本題、
関税第一弾2018年7月
アメリカが3,4兆円分の製品に25%の関税を掛け、中国も同額分の関税で対抗。

関税第二弾2018年8月
アメリカが追加で1,6兆円分の製品に25%の関税を掛け、中国も同額分で対抗。計5兆円分に25%の関税を双方で掛け合い。

関税第三弾2018年9月
中国が対抗してきたためトランプ大統領はお怒り、さらに20兆円分に10%の関税、中国は報復で6兆円分に10%の関税。ここまでで中国は70%のアメリカ製品、約6兆円分に関税を掛け、アメリカは中国製品の半分に当たる25兆円分の製品に関税を掛ける。

2018年12月
アルゼンチンのG20で米中首脳会談を行い、休戦を発表。90日間の延期へ。しかしながら昨年12月はいまだ記憶に新しい下落相場となった。
その時の記事
さらにその後、2月末に再延期となり決着は5月へ。しかしながら交渉は無事決裂。





2019年6月
アメリカは今まで中国に掛けていた関税第三段の引き上げを発表。25兆円分の製品が10%から25%へと引き上げられるとともに、残りの製品についても引き上げが発表される。中国も対抗して6兆円分の製品に掛けられた関税を10%から25%に引き上げた。

その後大阪G20で再び米中首脳会談が行われる
その時の記事





関税第四弾2019年9月
中国が約束を履行せずトランプ大統領は再度ご立腹。残りの中国製品30兆円分に15%の関税を掛ける。これで全ての中国製品に関税が掛けられたことに。対する中国も750億ドルの報復関税第四弾を発表し、中国側でもアメリカからの輸入品ほぼ全てが関税対象になった。さらに中国は元安に誘導したため、アメリカ財務省は1994年7月以来初となる為替操作国認定を中国に行ったと発表した。

今後も休戦などを交えながら、関税は引き上げられることになりそう。またトランプ氏が再選を狙う来年の大統領選挙では、一時的に友好関係を築く可能性も。これまで何度も楽観悲観を繰り返してきた訳だが、今後も続く可能性が高い。相場に振り回されたり、突発的なニュースに振り回されたりしないよう、注意されたし。

また世間を誘導するようなメディアのニュースが流れているが、懸命な判断をされたし。「トランプ支持の有権者であるアメリカの大豆農家が、離反しているため再選は難しい」などと言った報道を見るが、これはまったく選挙に寄与しない。私の記憶なので細かい差異はあるだろうが、アメリカのGDPに占める農業生産の割合は1,5%で、農業人口は労働人口の0,8%ほどと言われている。つまり例え農業人口の全員が大豆生産者だとしても、たったの人口の0,8%ほどで、当たり前だが全員が大豆を生産している訳もなく、実際の大豆農家の有権者は微々たるもので大勢は覆らない。

より深刻な問題なのは、不景気に陥り時の政権が批判されること。こうなれば再選が難しいが、今のところトランプ氏はFRBに責任を転嫁しつつ、自身に責任が及ばないようにすると共に、頃合を見て景気を浮上させ自身の手柄とするつもりで、上手くやっている様子。この頃合を見て資金を入れるのが私の戦略でもあるので、トランプ氏にはしっかり中国を締め上げてもらいたいのだが。。。






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2 件のコメント:

  1. お疲れ様です。
    日中貿易協定の引き延ばし何回目でしょうか?
    その度に振り回されてます。
    今回は、英国のブレグジットもネタになってますがまた、失望させられらる結果となると思うんですが❗
    9月に持ち上げて10月に落とすのか?9月に落として10月に上げるのか?悩ましいです。
    日経平均は、21000円を超えて来て底打ちのように言われてますが10月に消費税を上げておいて順調に上がるとは、到底思われないのですが踊るあほうになるべきか?
    非常に悩ましいこの頃です。

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  2. 去年のこの時期とまったく同じ不透明感が漂っていますね。去年はここから下落しましたが、今年はどうなるんでしょうね?Fedの利下げが始まっているので、私はあまり期待してなく、取り敢えず現金を厚めに持っているのですが。しかしこれもまた悩ましいもので機会損失が。多分年末か、2019年の決算が出る来年2月くらいまで、私は待つことになりそうです。

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