トランプ大統領とムニューシン財務長官は20日、イランの中央銀行を制裁対象としたうえで、アメリカの銀行システムから切り離す措置を発表した。
【速報】トランプ氏 イラン中央銀行への制裁表明 サウジ施設攻撃で https://t.co/m6GsQU78az— 難波のあきんど (@akinainohibi) September 22, 2019
石油を売って生計を立てているのに、売った対価として得るドルの利用を著しく制限されることに。もちろんユーロや人民元など他の通貨が生きているため、細々と生きて行くことは可能だろうが。。しかしながら基軸通貨ドルだからこそ、支払いや受け取りが円滑にいったが、その他の通貨では取引を拒否される可能性も。
もしドルの供給が絞られた場合、どうなるのだろうか?もしドルの供給が止まった場合、どうなるのだろうか?今回のイランへの制裁は、事実上ドルの供給が止まった場合と考えることが出来る。
ドルの供給が絞られた場合の事象は多々ある。身近なところでは現在の中国だろう。貿易戦争の煽りを受け、輸出が激減。対価として得ていたドルの供給が絞られたと言える。もちろん景気はマッハで減速しており、株価指数は下落。投資資金は外部に流出しはじめている。
SP500、週足チャート
15年から16年に掛けての下落、今でもその痕跡をくっきりと残すチャイナショックは、FRBの利上げが意識され、世界中の投資資金がドルに集まることを危惧したため起こった。つまり資金がアメリカに向かうため、事実上ドルの供給が絞られたと見ることが出来る。そして18年末の下落、これは上述の貿易戦争で、ドルの供給が絞られたため起こった。もちろんこの逆の現象として、ドルの供給が増えれば経済は活況を呈す。量的緩和によりばら撒かれたドル資金が、リーマンショック後の低迷から世界経済を救ったことは記憶に新しい。
もちろん日本もドルの供給が絞られればただ事ではない。ドルの供給があるからこそ、世界中から、資源であるエネルギーや食料を買うことが出来る。ドルの供給が絞られれば外貨準備高が減少し、それが続けばジリ貧でいつか底をつく。もちろん資源を海外から買い付けることは出来るだろうが、ドルの供給が減れば買うことの出来る資源も減る。
もしこれを個人で例えるなら、銀行システムの使用を禁止され、全て現金決済を強いられるようなもの。もちろん銀行を介さなくても、始めはなんとかなるだろうが、徐々に息が詰まる。なぜなら、給料の支払いも、公共料金の引き落としも、携帯の引き落としも全部銀行を介して行われるため。銀行と連携されている証券口座などもちろん使えない。そもそも銀行口座すら無い人は、信用力が無いため、仕事などといった社会生活は何一つ満足に行えないだろう。
ではドルの供給が止まった場合は?これも事例が多々ある。例えばベネズエラやアフリカ諸国などだ。世界の貿易システムに組み込まれていないアフリカでは、もちろん貿易によりドルが流入することは無く、人間開発指数は常に底辺を推移している。貧困、病気、飢餓、戦争、低い平均寿命、一日1ドル以下での生活といった様に。
ベネズエラは世界一の石油埋蔵量を誇っているが、最近の苦境は良く耳にするだろう。もちろんドルの供給が止まったためで、ベネズエラ国民は凄惨な状況に置かれている。すでに人口の10%が、陸続きの海外に移民や難民として流出した模様。公共インフラは頻繁に止まり、今日食べる物さえ事欠く生活、絶対貧困である日1ドル以下の生活を強いられている人口が50%にも達するとか。。
かつては治安の悪かったコロンビアなどから、資源輸出により比較的豊かだったベネズエラに移民が流入していたが、今は完全に逆流している。なぜここまで苦境に陥ることになったのか?これは元大統領のチャベス氏が、ナショナリズムや大衆迎合主義的な政策として、油田を国有化したため。アメリカの企業が投資していたため、怒ったアメリカは制裁。ドルの供給が止まれば、石油を売った対価としてドルを得ることができず、そもそも石油を売ることも出来なければ、石油開発に関係する技術の流入も止まる。石油があれど開発出来なければ、宝の持ち腐れ。ただの泥水として地下に眠ることになり、何の価値も生み出さない。
上述の様にドルの供給が無ければ悲惨なことになる。何も買えず、技術も入ってこず、ただただ貧困な生活に耐えるしかない。つまりドル経済圏に組み込まれるかどうかが、国家の運命を決定付けると言えよう。もしこれを個人で例えれば、通貨の使用自体を禁止されるようなもので、もちろん貨幣経済の社会において、貨幣が使えなければ何もできない。運が良ければ物々交換に応じてもらえたり、掃除などのサービスの対価として食料を得ることが出来るが、通貨の使用が禁止されているので、お金を貰うことも出来なければ、保有しているお金を使うこともできない。
話はイランに戻って今回のアメリカの制裁は、アメリカの銀行システムから切り離すことで、事実上ドルの供給がストップすることを意味する。もちろん通貨はドル以外にもユーロや円、人民元があるし、銀行を介さず札束かゴールドでも抱えて取引することは出来るだろうが、ドル経済圏から村八分にされ、取引に制約がかかることに変わりは無い。
イランはレッドチームやヨーロッパに擦り寄るだろうが、これらの国もジャイアンことアメリカに、睨まれたくないだろうし、大っぴらにイランと仲良くすることは難しい。国際社会なんて所詮学校の縮図で、虐められっ子と話したら、自分も虐められるようなものなので、そんなことは誰しもが避ける。敢えて藪に首を突っ込むようなことは誰もしないのである。民主的とは所詮この程度のものなのである。。
さて、イランは今後第二のベネズエラとなるのか?それともアフガン、イラクと続く危ない系譜へと繋がるのか?何かとイチャモンを付けるトランプ氏の退任を待ってから、ヨーロッパなどに仲介してもらい、関係の修復を図るのか?ここらへんが運命の分かれ道になりそう。今回の石油施設ドローン攻撃の関与を全否定しているイランに対してこの制裁。イランに介入したがっているトランプ氏には格好の口実となった模様。。。
現代の十字軍として、その内トランプ氏は聖人として列聖して、聖トランプと言われてそう。ルイ九世がその功績から聖ルイ(サンルイ)と言われている様に。。Donald Trump was saint。。。
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