2021/05/21

【ガザ地区】停戦発行もさらに分断が進む結果に









イスラエルとパレスチナ自治区の武装勢力ハマスとの間で停戦の発行です。11日間続いた今回の衝突だったが、長引けば反イスラエルの論調が増長するであろう国際世論を考慮し、国際的な孤立を避け、また強固な関係を結んでいるアメリカ側に批判の矢が向くのを恐れたバイデン政権の意向もあり、停戦に合意したイスラエル。





そして脆弱な経済基盤しか持たず消耗戦になれば確実に不利になり、パレスチナを実質支配しているハマスに対して同じパレスチナ人からの反感が高まりかねず、また他の勢力に基盤を脅かしかれない自体を考慮したハマス。パレスチナは今でこそハマスが主導権を握っているが、一枚岩ではなくアラファト議長が率いたパレスチナ解放戦線など多くの組織があり、他の組織に足元をすくわれかねない。双方ともここらへんが痛み分けと読んだようだ。


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表向きなニュースは、アメリカがイスラエル側に停戦を促し、テロ組織のハマスとのパイプを持たないアメリカは中東の主要国にハマス側に停戦を依頼。ただし内情は上述の通り組織や国として存続させるための損得勘定で双方ともこれ以上継続するのは不利になると考えたらしい。





今回の衝突でパレスチナ側は200人以上の犠牲者と多くの負傷者、そしてイスラエル側は20人ほどの犠牲者がでたとのこと。そしてここからは私の試算だが双方共に400億円ほどの経済的な損失が出た模様。多くの軍事費を費やしたイスラエルと空爆により多くのインフラや建造物が破壊されたパレスチナ側。





今回話題を集めたのがイスラエルの防空システムアイアンドームだ。3000発ほどのロケット弾や迫撃砲がパレスチナ側から放たれたが、イスラエル側の損害は、空爆に晒されたパレスチナ側と比較して損害も犠牲者を遥かに軽微だったのはこの防空システムがあったからだと言われている。










3000発のロケット弾や迫撃砲の内、約半数にあたる1300発ほどが迎撃されたとのこと。因みに迎撃対象になったロケット弾の90%は迎撃されたとの事で、ほぼほぼ空からの攻撃を防いだまさに鉄のドームの役割を果たし、イスラエル側の損害が少なかったのはこの防空システムに頼るところが大きい。




因みにハマスのロケット弾はお手製の単管パイプロケット弾だ。弾薬は農業肥料に使われる硝酸アンモニウムに軽油などを混合した硝安とも呼ばれる爆発物で、日本でも発破工事でよく使われる安上がりだが強力な爆発物だ。同じく中東のレバノンで昨年大爆発を起こしたのもこの肥料用の硝酸アンモニウムだ。








今回のイスラエルの一連の軍事費は300億円から400億円前後と見る(個人の見解です)。一発5万円ほどのお手製のロケット弾を一発500万もするアイアンドームで迎撃する、弱者の戦略としては、ハマスのとった行動は正しいと言えるが、その後の空爆で多くの損害を招いた事から、兵器だけでの損得勘定だけでなく総合的に見れば、経済的にも軍事的にも戦略的にもハマスの敗北だろう。まあ負けると分かっていながらもやらなければいけない状況だった訳だが。。またイスラエルとパレスチナの間でさらに分断が進んだことだけは確実だ。





因みにアメリカの迎撃ミサイルのパトリオットは、2万円のドローンを迎撃するのに1億円の費用が掛かるとのこと。もちろんこのアイアンドームの開発には裏でアメリカがかんでいるは言うまでも無く、また今回の衝突で良い宣伝になった所で手打ちとしたのは、今後の兵器の販売である程度の投資が回収出来るし、相手により多くの損害を与えたので、国際的に孤立する前に手を打ったのがアメリカとイスラエルの本音だろう。つまり戦争もコストパフォーマンスという事だ。




因みにアイアンドームは弾倉のようなランチャーに5X4列の20発の迎撃ミサイルが詰め込まれている。一発のお値段は500万円ほどなので、1ユニット20発で1億円。1000発で50億円だ。もちろんそれとは別に輸送や設置、展開、防空レーダーシステムなどの費用も掛かるし、空爆にも費用は掛かる。








アイアンドームは魅力的な防衛システムだ。イージス艦に備え付ければかなりの防御力となるし、空母打撃群を効率良く運営するためにも必要だ。またイラクやアフガンで展開する自軍の基地の防衛や、アルメニアとアゼルバイジャンで起こったドローン戦争でもこれがあればかなりの効力を発揮したことだろう。アイアンドームの防空レーダーシステムと連携した追尾、誘導、迎撃までの一連の流れは非常に魅力的だ。




多額の戦費を費やしたイスラエル側だが戦費以上にパレスチナに損害を与え、また自国の損害以上にパレスチナに損害を与えたが、兵器の販売である程度の元は回収出来る。しかしインフラや建造物を空爆により破壊されたパレスチナ側は厳しい状況に置かれている。常日頃からイスラエルに煮え湯を飲まされているパレスチナ。





イスラエルがパレスチナに行っている行為は、かつてナチスがユダヤ人に行ったソレだとも言われているくらいだ。今回の衝突でさらに分断が進むのは言うまでも無く、またパレスチナとイスラエルの経済的、軍事的格差がますます拡大する中、平和的に解決するのは不可能だろう。はっきり言ってイスラエルが暴挙に出ればパレスチナを廃墟にするのは簡単な事だ。




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