2019/07/29

今年後半は円キャリートレードの撒き戻しの予感






最近は耳に入ることが少なくなった、「円キャリートレード」。しかしながら、アメリカに投資している日本人投資家が行っているのが、この円キャリートレード。低い利回りの円を、利回りの高い国に持って行き運用するこの行為。また知らず知らずの内に過大なレバレッジを掛けている可能性も。

貯金などがあるにも関わらず、すべてフラット35で資金を借り入れ住宅を買い、自己資金の方はSP500で年7%の利回りで運用し、借り入れた借金に対しては1%の利払いで、差し引き6%の利ざやを稼ぐこの行為。やっていることは、非常に理にかなった、いまどきの賢い投資にみえるが、一歩遠くから眺めれば、やっていることは円で借金して、ドルベースで投資する、円キャリートレードそのもの。





FOMCで利下げを目前にして、未だに危機感のない投資家が多いようだが、末端の投資家で、靴磨きの少年である我々の次に、円で借金をしてアメリカに投資する人間などいるのだろうか?今までドル高を保っていられたのは、ドル円のスプレッドだったが、利下げが行われれば、スプレッドが縮小するため、ドルが売られ円が買われやすくなる。つまり高金利が魅力的だったドルの金利が引き下げられれば、ドルの魅力が失われ相対的に円の魅力が増すため、円高に傾きやすくなる。

日本人は日経平均がボラリティーが高い割りにリターンが低いため、投資するなら米国株と口を揃えて言うが、円建てで米国株を評価した場合、米国株も日経平均と同様にボラリティーが高くなる。リーマンショックの時は、株の評価損と為替損で指数を買っていても資産は3分の1ほどに。そもそも大衆が乗り込んだ時が最終局面で、これ以上新規の買い手が現れなければそこが天井といった見方も。

よくドルベースで運用を考えているため、円建ての評価は気にしないといった声が聞こえるが、口座を開くたびに円建てベースで評価損益が表示され、ことごとく下落していったら、意識せざるおえない。景気の最終局面にNISAや積み立てNISAを推奨し始めた金融庁、そしてアメリカの株価指数を勧める世論に押され、画一的なポートフォリオが醸成されていき、気が付いた時には皆同じポジションを持っていたという、笑えない現実。はたして今後どうなるのだろう?





アジア通貨危機や、ルーブル危機の時にLTCMが破綻した時も、サブプライムでリーマンが破綻した時も構図は同じで、みんな一様に同じポジションを抱えていたからという、大変笑えない状態だった。現状の投資家のポートフォリオは、ドルベースでハイテク関連の割合が多い、皆まったく同じポートフォリオを築いている。個別株投資家も、SP500派も全く同じといってよく、もしハイテクが崩れれば、ハイテクの割合の大きいSP500の下落率は大きくなりやすく、SP500が売られれば投資家のポートフォリオは痛みやすく、売りが売りを呼ぶ展開になる可能性も。また「右に倣え」でアメリカに向かった資金が、円キャリートレードの撒き戻しで、指数の下落と同時に逆流したら目も向けられない。

もし円建てでNY指数が25%ほど落ちれば、これ以上の下落を避けるために、積み立てNISAで損切り祭りが起きる可能性も。また間違った投資を勧めたとして、金融庁やメディア、個人ブログ、またNISA制度そのものが非難の嵐に見舞われる可能性も。過大なレバレッジでボラリティーの大きい円キャリートレードにも関わらず、皆で同じポジションを抱えて、果たして大丈夫なのだろうか?2000万円問題を発端に、最後に打ち上げ花火が上がった感の拭えない積み立てNISA、そして指数の方も絶賛大天井を形成中。

投資の格言に「人のいく裏に道あり 花の山」を聞いたことのある人は多いだろう。この格言には実は下の句があるのをご存知だろうか?「いずれを行くも 散らぬ間に行け」と続く。さてもし麦藁帽子を冬に買うなら、現状に当てはめるとどうなるか?やはりみんながこぞってドルを買って、そのドルでSP500を買っているなら、やはり円を買えということになるだろうか?





もし20年先を見越せば、このまま続ければ良いし、1、2年先を見越して投資するのもいいだろう。しかし株価に弄ばれるのは戴けない。株価など見ずに、自動で引き落としされ、自動で積み立てるのも手だろう。投資に正解は無いのだから。。。

お勧めの記事です。




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