2019/07/02

2000万円問題、担当局長退任へ、正解は積み立てNISAか?






世間では、「危機を煽る」などと言われ、風説の流布などと、大いに批判を受け、民間では、デモまで起こり、政府に至っては報告書の受け取りを拒否。この議論を巻き起こした、三井秀範局長が金融庁の幹部人事で定年退職することに。裏では、自民党や政府幹部の手引きがありそう。完全に闇に葬られ、責任は全部この人に擦り付けた模様。

まず事実関係を確認しておくと、2000万円問題とは、定年退職後の年金では、夫婦2人で毎月5万円不足するという、試算に基づく。つまり退職後、平均寿命の90歳前後までの35年間で2000万円が不足するというもの。
「危機を煽る」と言った主張もあながち的外れではなく、なぜなら現実は年寄り程、資産が多く、寿命を全うする直前の資産が平均してマイナス2000万などと言った、統計を聞いた話しがない。これには若干の誇張があるのも事実。しかしながら、政府の台所事情や、年金基金の台所事情が火の車だという事実も見逃せない。つまり現時点では事実に反しているが、将来的にこうなるといった予測としては成り立つ。

ちなみに2000万円あれば、元本を取り崩さずに5%の配当利回りで運用した場合、年100万円、月あたり、8,5万円の収入になる。運用をするだけで、すでに5万円の不足分以上の収入となる。3%の配当利回りの手堅い運用でトントンの月5万円。これを考えると、金融庁の思惑が見えてくる。

金融庁は、政府や年金基金の台所事情を心配してこの発言に至った模様。このまま持続させることは難しく、将来的に受給年齢の引き上げや、受け取れる年金額の減額、もしくは支払う年金の増大などといった、国民に不利な形になることは、避けようがなく、その時のダメージコントロールとして、「準備できる人には、事前に準備を促す」といった趣旨がありそう。

特に年代格差が顕著に現れる、逃げ切り世代と、これから年金の屋台骨となる20代、30代で老後に置ける格差の拡大の防止として、若い現役の世代には、時間という資産を最大限に活用し、情報の共有や提供をもって、対策してもらいたいという思惑が。
くしくも、金融庁は、その対策として、税制の優遇措置を受けられる、イデコや、積み立てNISAでの運用を推奨している。毎月3万4千円を積み立てると、積立額だけで年40万、20年間で800万円、夫婦二人で1600万円になるが、そこに複利運用や非課税の恩恵が乗れば、2000万円は堅い。これこそが2000万円報告書の導線だったのではないか?



時は金なり、情報は金になる。
将来的に年金だけの悲惨な老後を回避するために、時間や情報といった資産を存分に活用する場を提供してくれたのが、この2000万円の報告書だったということになる。そしてこの報告書の受け取りを拒否した政府こそ、今の若い人の可能性を摘み取り、負担を先送りする、大衆迎合主義の見栄や世間体ばかりを気にした、間違った政府ということになる。大衆迎合主義では、何も解決せず、事態の先送りは問題をさらに大きくするだけで、それこそ、危機に直結する。そのしわ寄せを受けるのは、もちろん2000万円問題の報告書の受け取りを拒否した政府が正しく、危機を煽った金融庁が間違っていると考える人間だろう。



2000万円問題の報告書をまとめた三井秀範局長こそ、政権の舵取りをし、国の運営をして行くべきだろう。痛みを伴わずに成果は生まれなし、陣痛を伴わずに赤子は生まれない。2000万円問題や年金の不足といった、比較的早期にやってくる問題すら認識できる能力がない、まったく未来を予見できない政府よりは、痛みは伴うが現実的な解決策を提案できる金融庁のこの人の方が信頼における。政府は事実や問題を認識し、この2000万円問題を蔑ろにするべきではないし、金融庁はもうちょっと支持を得やすい提案にするべき。例えば、「老後をより豊かに送る方法」や、「老後の資金を作る方法」といった具合に。

今後の年金政策の根幹はこの2000万円問題で、負担は、政府と個人の半々で折半になりそう。せっかく作ったこの正しい報告書を無駄にするべきではなし、大いに活用していくべき。ここまで世間の注目を集めることができたのだから、投入した資金に対する広告効果としては、大成功なのだから、このタダで宣伝できる媒体を使わない手段なない。




金融庁の金融リテラシーに関する記事。


こちらは運用の参考にどうぞ。


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